Joey

いりびと-異邦人-のJoeyのレビュー・感想・評価

いりびと-異邦人-(2021年製作のドラマ)
5.0
久しぶりに美術館に行った。福岡市美術館だ。ダリ、シャガール、ミロ、バスキア、ウォーホールなどがあって、鼻が触れるぐらいの距離で見つめる事ができる。そんな中で藤田嗣治が好きだ。裸婦は有名だけれど、自画像の前で立ち尽くしてしまった。自分の顔を描くという事は自らを曝け出す行為。だから惹かれるのだろう。自らが描いた眼は力強く、でも、どこも見ていない。見ているのは自らの心の奥深く。底知れない暗闇と果てしない希望が同居している。

このドラマに出演している役者達の眼力も凄まじい。高畑充希の眼は一瞬たりとも笑ってはいないし、風間俊介には未だにフミヤが棲みついているし、SUMIREには争えない血が騒いでる。そして、森口瑤子も、松重豊も、梶芽衣子も、瞬きひとつしない。だから、油断はできない。こちらも覚悟して、この架空の世界にのめり込む必要がある。原田マハが仕組んだ世界観に、ただただ敬服している。この年の最後に素晴らしい世界に触れる事ができた。
Joey

Joey