林檎TV。見始めました。悪くない。なにせレベッカ・ファーガソン推しなもんで、これから楽しみ。
5/13 第3話「機械」。
いよいよファーガソンが主役。サイロの発電機のタービンの面倒を見ていたメカニックがシェリフになるには、一度タービンを止めて修理しなけりゃならないわけよ。さもないとジュリエットはメカニックをやめられない。というわけで、今回はタービン修理大作戦。結末はわかっているのよね。大切なのは過程。手に汗握りながら堪能。
そして祝杯のためのワインを選びの間に、ちょっとバスルームにという展開は、とうぜんそうなるよなという展開。口から血を吹いている彼女の姿に、レベッカ/ジュリエットの最初の事件が告知される。
金曜日が楽しみになってきた。うれしいな。
5/19「真実」
いいね、面白くなってきた。これからディテクティブストーリーだけど。同時にジュリエットの来歴をやるわけよね。どんどんレベッカ・ファーガソンの世界になってゆく。ワクワク。
5/27「用務員の息子」
一件落着させながら、大きな謎は残したまま。いいじゃんこのミステリー。用務員の仕事ってのも謎めいていてよい。どんどん管理社会ディストピアものになりながら、ハードボイルドストーリーでもあり、奇妙な室内劇/迷宮劇となっているわけよね。来週も楽しみだ。
6/10 「遺物」「炎の番人」
「遺物」はレリック(reliqu)。それは「relinguere」(放っておく、そこに残る)という意味の羅甸語に由来。だとすると、サイロができた前の時代から残っていた「遺物」だけではなく、今はなくなっても記憶に残るモノやヒトと考えることもできる。
実際、ジュリエットの昔の思い出や、亡くなった恋人のウィルキンスなどは、記憶に残りながらその意味を変えてゆく。そのあたりの本の組み立てが見事。
続いて「炎の番人」(Flame keeper)。この言葉には 「伝統の継承者」という意味があることに注意しておきたい。Flame は「炎」なのだけど、誰かが番をして燃やし続けなければ消えてしまう。伝統や記憶、そして技術もまた、そういう意味での「炎」なのだ。
同じ番人でも「Janitor」は少し意味が違う。第5話のタイトルは「用務員の息子」(Janitor's Boy)なのだけど、Janitor は「用務員」というよりは「ビル一棟の管理人」のこと。語源は羅甸語の「janua (扉、ドア)であり、出口と入り口の扉の守護神として前と後ろにそれぞれふたつの顔を持つ「ヤヌス神」(Janus)と語源的に連なるもの。だとすれば、サイロ司法部の警備隊長ロバート・シムズは、Janitor's room のモニター群からしても、やはりヤヌス神ということなのかもしれない。
かくしてヤヌス神は、ゲートを守備する。伝統の継承者たちは、ゲートの向こう側から来たものを伝えようとする。だからこそゲートウェイが問題になるのだけれど(第9話)、その前にジュリエッタの母「ハンナ」の話(第8話)が待っている。
ハンナ、あるいはアンナという名前はヘブライ語の「恩恵」を意味する「カンナハ」(Channah)に由来。アンヌ (Anne)、アンネ (Anne)、アナ (Ana)、アン (Ann) 、アニャ(Anja)なども同根。そのアンナは、キリストの母である聖母マリアを産んだ母の名前でもある。つまり、聖母マリアという「恵み」をこの世に送り出したのが、まさに「恩恵」という意味の名を持つ母アンナだったというわけだ(ちなみにマリアはヘブライ語の「ミリアム」(Mirjām)に由来し、これは「高められたもの」を意味する)。
だとすれば、第8話のハンナはジュリエッタという恵みをもたらす母ということなのだろう。そのジュリエッタ、イタリア語にすれば Giulietta で有名なのはシェークスピアの悲劇だけど、おそらくは Giulia から由来した名前。Giulia はユピテルの一族に連なり、ユピテルとはギリシャのゼウスのラテン名。なるほどジュリエッタは、異教の最高神に連なる娘ということになるわけだ。
次回の8話「ハンナ」に続いて、9話「ゲートウェイ」、そして10話はいよいよ、停電の時に一瞬緑に覆われた外の世界。それもまたフェイクなのか。あるいはフェイクではなく現実なのか。そんな「ビッグ・クエスチョン」がどんなふうに明かされるのか。
楽しみになってきた。
6/16、第8話「ハンナ」
ジュリエットの母親のエピソード。拡大鏡で心臓手術ができたウサギ。同じことができなかった弟。すべては鏡の向こう側のカメラが招いたこと。閉ざされた監視社会は同時に生物学的な問題を誘発。それが「シンドローム」と呼ばれる症状。
ほとんど相棒になりつつあるビリングス主任副保安官に、あろうことかシムズの前でシンドロームの発作がでたとき、でっちあげの罪で逮捕されたジュリエットは脱兎の如く駆け出して、シムズに体当たり。同時に、連中が隠したかったレリックを奪いとると、なんとあの手すりを乗り越えるのだ。
ジュリエットの逮捕が前任者のホルストン保安官に起こったことの反復だとすれば、その逃走もまた、彼女の死んだ恋人ウィルキンスがやったことの反復なのか。そうとも見える。だとすれば、ファーガソンの出番はこれで終わりのなのか?
え、それはいやだな。もっと見ていたいのだけど...
次回のタイトル「GATEWAY」の日本語訳は「逃走」。来週が待ち遠しいぜ。
6/26
そうだよね。ファーガソンがいなくなるはずがない。なるほどあそこに飛び降りたのなら合点がゆく。今回のポイントはシムズとその家族。絶大な権力を握っているように見せておいて、家族がその弱みだと描いてみせ、同時に、家族に弱みがあるような人間的な人間は、さらに上の地位には登れないことが仄めかされる。
やっぱりIT部門が怪しいわけで、その部門のトップが全てに通じているってこと。今の時代なら、GAFA のトップみたいな感じなんだろうな。ディストピア的管理社会のビッグブラザーはインフォメーション・テクノロジー(IT)であり、表面上はおだやかでフレンドリーなバーナード・ホーランドの依代となったティム・ロビンスは、まさに適役ってところ。
さて来週は、いよいよこのシリーズのラスト。続きがあってもなくても、うまく収まってくれる予感。でも、どうなるかはわからない。ドキドキの最終回は今週の金曜日。あとちょっとだぜ。
ウィキにはすでにシーズン2の制作が決まっているとのこと。これはうれしい。
もうすぐ『ファウンデーション』のセカンドシーズンも始まるし、アップルさんのSFシリーズが熱いぜ。
6/30
なるほどね。緑の世界のほうが幻想だったってわけか。サイロのような閉鎖空間で再生産をかさねて種を保存してゆくためには、たしかに生政治的なコントロールが必要になる。人は真実に耐えられない。むしろ心地よい幻想を選ぶものなのだろう。
だから清掃のカラクリも腑に落ちる。外の世界が美しいとわかれば、仲間に見せてやりたくなる。しかし、その美しさがカラクリであるとき、清掃人は幻想を見ながら、現実に毒されて倒れゆくことになる。
ところがジュリエットは違う。ひとつは耐熱テープのカラクリ。地下の資材係からもたらされた本物の耐熱テープが彼女の命を救う。「清掃係」に用いられるテープの品質は、意味をなさないことに意味があったというわけだ。
つまりこういうことだ。「清掃係」に任命されて外に出された不穏分子は、外の世界が緑にあふれているという嘘を見せられて、サイロに残る同僚たちにその姿を見せようとカメラの窓を清掃する。しかし、耐熱テープはあえて品質の悪いものが用いられているので、長くは生きることができず倒れてゆく。
いっぽうで、サイロのなかの住人が緑の景色を見ることはない。目にするのはあの荒廃した現実の外部。そしてそのなかで「清掃人」がきちんと清掃して倒れてゆく。なんどもなんども。しかしジュリエットは違う。清掃することもなく、倒れることもない。
そうやってジュリエットが超えた丘はサイロのクレーター。向こう側には同じようなクレーターがいくつもいくつも続き、遠景には摩天楼のシルエット。
いやあ、いいじゃないですか。ここで終わってもよかったのだけれど、うれしいことにシーズン2が告知されているみたい。ジュリエッタ・ニコルズ/レベッカ・ファーガソンは、当然ながら、戻ってくる。そのはずだよね。
楽しみだわ。