浅野公喜

漂着者の浅野公喜のレビュー・感想・評価

漂着者(2021年製作のドラマ)
3.4
タクミ・サイトウが記憶喪失の謎の漂着者、そして預言者となる秋元康原作のオカルトサスペンス。ネトフリの「メシア」という作品がヒントになっているとか。

誘拐された子供の居場所を当てたり、これから起こる悲劇を予言することで次第に崇められ、やがて国をも動かす存在となっていく・・という展開はスケールが大きく、時に重要と思われた人物が即退場したり、総理大臣役の方の演技が胡散臭い、そして象が現れたり(笑)と突飛な要素も楽しめたのですが、様々な伏線や謎を回収せずにブツ切れ状態で終わった感が否めません。一応シーズン1との事で続編も考えられますが、1シーズン内で映画で言えば「シャッターアイランド」的な流れも期待していたので拍子抜け感も少々有りで、リリー・フランキーの使い方もいかにも。

ヒロインであるマイ・シライシはそれなりに健闘していると個人的に感じましたが、ビジュアルのイメージよりも声が高めで、台詞に合わせた声質のコントロールがもっと上手く出来ればより嵌ったかもしれません。また、好きな映画「オーディション」でお手伝いさん役を演じていたトシエ・ネギシが終盤「ジョーカー」風メイクを披露したり微かに狂気を感じさせる役と演技で印象的でした。

地元・新潟を舞台にしておりテンションが上がったのですが、思ったよりも新潟以外の場所で撮影をしていたらしく、新潟の方言もジュン・ハシモト演じる新聞社社会部の人が話す位で全体的に新潟らしさが希薄だったのも、新潟の新聞記者が朱鷺を知らない風だった点と含めて惜しい点でしょうか。
浅野公喜

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