今年観た中でも最も苦しくなるほど息を詰めて観た作品かも。個人的には「恋愛ホラー」と呼びたいw
なんらかのトラウマからか、他人、特に女性との密な信頼関係がもてない超イケメン、ジュオンと元カレからのあまりに酷いハラスメントとそれ故の失恋から立ち直れない美大生、ナビ。ふたりの出会いと多難な恋模様を描く。お互いにひかれながらも、特にジュオンは平気で他の複数の女性との関係を続けて悪びれない。その悪びれない具合がもはや〝天然‘’の域というか。脳神経の障害なのかと思っちゃうくらい涼しい顔をしているから、対するナビの苦悩はどんどん深くなっていく、、、という展開。
その恋愛模様とともにナビやその周りの美大生たちの作品作りの様子が描かれているのがとても効果的。心の有り様が如実に表れるものだから。恋が創作のパワーになることもあるが、心ここに在らずのままではいくら時間をかけても魂が籠らないというか。彫刻、金属の溶接などさまざまな創作風景も絵になるというか。とにかく楽しかった。
ジュオンに振り回されるナビ、というだけではなく、ナビ自身の我慢強さや意志力など、終盤はどちらかと言うとジュオンが苦しんでいたのでは？という風に見えた。でもとにかく、ジュオンのソン・ガンとナビ役のハン・ソヒというとてつもない美しさをもつ2人だからこその説得力や化学反応が生まれた作品だとも思う。
全体的に静かでゆったりした展開やインディーっぽい透明感あるポストロック〜シンガーソングライター系の繊細な音楽もピッタリ。思ったよりも重いものを感じる作品だと思う。というか、友人たちも含め、韓国の若い子たちはなんだか大人っぽい。なんだかんだ恋愛しよう、人と関わろうとしているというか。彼らの親世代としてはなんとも眩しくもほろ苦いものを感じました。あの、女の子同士の手探りの恋、というか、友愛も素敵だった。しかしハン・ソヒ、キレイやわ……。
