みバとカも

宮本から君へのみバとカものレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2018年製作のドラマ)
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スタッフ・キャスト的にもこれ以上は無いはずの布陣によって90年代に描かれたカルト的漫画を2018年に実写化。監督は過去作でモロにキーチ!やザ・ワールド・イズ・マインからの影響を隠していないし、オープニング曲は主人公の名前の元にもなったバンド、エンディング曲も新井英樹がジャケットを描いたことで縁のあるデュオ。キャスト的にも文句のつけようが無い。蒼井優と柄本時生とほっしゃんと高橋和也と浅香航大と新井英樹(!)と……の素晴らしさ。見終わってから振り返って思うことでしかないが、小田課長はほっしゃん以外ありえないよねぇ。一方で超重要な初期ヒロインの甲田美沙子はド新人の華村あすか。舞台は現代なのでスタイリング等も当然現代のOLになってはいるが、中身に関してはたぶんこういう女性ってバブル期どころかその更に昔からいただろうし、にしてもこのキャラクターは演技経験がほぼない新人が演じるにはかなり難しいはずで、それでも彼女から目が離せなかった。華村あすかという発見、甲田美沙子を演じさせようという発見はこのドラマ最大の功績かもしれない。
この時点でもう文句のつけようが無いし、細かい不満点など言うだけヤボなのだが、原作の新井漫画のカルトたる所以というか、新井漫画に孕むある種の難しさをも結果的には露呈させているドラマであるように思う。
原作に忠実なのは嬉しいけど、忠実すぎるのも考えもの。コンペ編のクライマックスで島貫部長に路上で土下座する場面、宮本がそれまでこの商品を作る上で関わった人たちの顔がフラッシュバックするのだが、これは確かに原作通りで、しかしながら当の新井英樹は連載当時のモーニング編集長に「フラッシュバックに頼るのはドラマが弱いからだ」とダメ出しされたらしい。いかにもテレビドラマ然としたこのフラッシュバックをそのままトレースするのはどうなんだろう。
それから肝心の宮本問題。やはり新井キャラを生身の俳優が演じてかつ説得力を持たせるのがいかに難しいか。池松壮亮はそりゃそのハードルを知っていたはずで、その上で完璧なまでに体当たりでやっていたと思うけど、そういう意味では新井英樹の漫画ってTWIMやスキャッターといった一部の作品を除いて超現実的なことは起こらない人間ドラマのはずだが、実際にはあらゆら漫画家の作品の中で最も実写化が難しい漫画なのかもしれないと思う。生命力を滾らせて猪突猛進して周りをどんどん巻き込んでいく新井漫画の人物像って、ともすると嫌な奴、迷惑な奴に見えかねないから。いや実際宮本も他の漫画の主人公も周りに迷惑すっごいかけてるんだけどね……いずれにせよちょっと最終話は宮本が嫌な奴に見えてしまった。