マヒロ

禍話のマヒロのレビュー・感想・評価

禍話(2021年製作のドラマ)
3.0
怪談を語るツイキャス『禍話(まがばなし)』にて、撮影クルーが民家型の貸しスタジオで遭遇する怪異が語られるが、それをきっかけに語り手達の周りにも異様な現象が起き始める……というお話。

禍話は実在する番組で、今作で描かれる話も実際に語られた話が基になっている。また、基本的に怪談はフリーなので「リライト」と呼ばれる作者独自の展開や要素を加えた文章化などは条件付で自由にやってよいと認められていて、自分はそのリライトでいくつか読んだことがあり、その中でも完成度が高かった、「嘘」や「架空の設定」を取り込んで無尽蔵に凶悪化していくある家を描いた『もうどうでもよくなった家』が映像化されるということで鑑賞してみた。

基本的に「Jホラー」のフォーマットに則った感じで、脅かし演出ではなく唐突に異様な現象が起こるとか、時系列や空間を無視して怪異が入り乱れるところとか安易な恐怖演出に頼りすぎていないところが良かった。

元になった文章からは結構アレンジが加えられていて、個人的には文章で描かれる怪異が無遠慮に連発されるところとキレのいいオチが好きだったので、ドラマ版は一歩及ばずかなという感じがした。並行して語られる『例の女』という話が上手いこと本筋に絡んでおらず、逆に『もうどうでもよくなった家』の方の恐怖を散漫にしてしまっているように思えた。
Netflix版『呪怨』みたいに複数話かけてじっくり幾つかの話を語り、それが一つの大きな軸に合流していく……みたいな流れだったら良かったのかも。

何にせよ「リライト」という概念のお陰で、この映像化が決定版というわけではなく更なる改変がされても問題ないというところは面白い。他の話でも見てみたいな。
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