Blue

ピースメイカーのBlueのネタバレレビュー・内容・結末

ピースメイカー(2022年製作のドラマ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

さーやってくれ、ジェームスガン、悪趣味全開でトバしてくれと思って見て爆笑しつつ、でもこれが以外な程に今までにないくらいジェームスガンのパーソナルな作品に仕上がっていて驚きました。

今回はピースメイカーそのものに彼自身が投影されてる部分が多く、またピースメイカーの口を通して本音を吐き出しているシーンが多かったように思えます。

ガーディアンオブギャラクシーを撮って作風が変わった気がするけど、彼のインタビュー動画をかつて見た時に、ジョスウェイドンが自分にマーベル映画を撮らないかとすすめてくれたと言っていました。
ジョスウェイドンはアベンジャーズ作品を撮ったマーベルの立役者でありながら、スキャンダルを起こして今はマーベルから追放されてる人なのだけど、今回のドラマを見てピースメイカーの上司役でかつリーダーの存在にジョスウェイドンの姿が重なりました。

このチームの立役者でありながら追放/消えていく存在であるという事。

そしてその事実を知らないピースメイカーは疑心暗鬼になり、傷つきます。ピースメイカーの心情がなんとなくジェームスガンと重なりました。
警察に地球外生命体が入って、地球の未来を守るために排除しようという動きは、過剰にまで取り締まり追放させようとする企業側の立場にも重なるし、カウそのものはディズニーであり消費者でもあるのかなと思いました。

そういう点を踏まえて見ていると、カウとの決着のつけ方には大爆笑しました。

ジェームスガン自体もディズニーから追放されて、スーサイドスクワッドではネズミが嫌いな主人公でしたが、ラストはネズミと仲良くなる、ミッキーマウスと仲良くなるという演出に噴き出して笑ったけど、DCのドラマでこういう事やるんだと笑った反面、一連の騒動をストーリーの裏の主軸した様な気がしてなりません。

今回もはみ出し者チームが主人公ですが、ジェームスガンはアウトサイドの人の視点を大切にしてるけど、今回はよりその視点から社会問題や人間ってとしての在り方を考えているなと感じました。

ピースメイカーは平和のためなら人を殺す事は躊躇しないキャラなのに、それを拒もうとする発言があったりしたのは意外でしたが、ここ最近のジェームスガン作風も人体破壊描写が少なくなり、もうそういうのは少なくしてピースメイカーとして平和のために何か貢献できる様な作品を作りたいという気持ちが全面に、それも直接出てきてる様な気がします。

強烈な家父長制の下に育ったピースメイカー、母親の呪縛から逃れられないアデバヨとの関係、そして人種の壁、ナチスや陰謀論と地球外生命体に侵されてゾンビのように彷徨う警察と囚人、温暖化という問題を棚上げしている世界と、ここまで社会問題をストーリーに混ぜ込んで時に直接的な描写をするのは意外でもありました。

作風が変わってきてるし、ここまでパーソナルな作品になるとは思っていませんでした。

とはいえやはり悪ノリもしていて、爆笑しましたw。とことん下品でお下劣、もともとストーリー自体は彼の過去作、スリザーとスーパーを土台にしてるけど、やはりジェームスガンはコメディ撮らせても良いですね。

ロンドンを舞台にしたフリーバックというコメディドラマを見て感想もアップしましたが、こちらで下ネタジョークで慣れてたせいで、ピースメイカーではもう少し下ネタジョークを頑張って欲しかったかなと思いますw。

アメリカやヨーロッパのコメディは社会風刺をしつつ人間の本性を暴き出すというのを笑いで表すという事を主軸にしてます。

そういう点でピースメイカーとフリーバックはコメディを追求したドラマと言えるし、アメリカとイギリスでの笑いの質の違いと実感しましたし、まったく趣旨の異なるドラマだけど、見比べるのも良いかも知れません。

イギリスの下ネタ炸裂しても気品があるけど、アメリカの場合は気品さを消してどこまで下品にするかっていう生臭ささを感じますねw。

いずれにせよよくできたドラマです。ジェームスガン作品にハズレなしと言ったところです。
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