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ゴッドレス 神の消えた町 シーズン1のrollinのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

片腕ギャング団の兄貴分、コブラさんのレコメンで視聴。個人的にNETFLIXのコンテンツの中で一番実り多く、見応えがあった。7話という潔さは、トゥルー・ディテクティブと同じく、一切弛緩することなく怒涛の推進力で車輪を転がす。気がつけば終盤に差し掛かっておりました。


まず冒頭の虐殺シーンの気合いの入り方と音楽よ。レディオヘッドを流し続けたウエスト・ワールドとは天地の差。撮影も一級品で、特に馬の入る画のセンスが抜群。あとは行き届いた生活描写。照明、衣装、汚し、美術の全てがハイレベル。ただ銃器描写に関しては、ウエスト・ワールドのレ・マット厨ぶりに軍配。

物語としてはコブラさんの仰る通り、レッドデッドやシェーン等、あらゆる西部劇の良いとこどり。しかし、タイトルの通り、神の不在という、キリスト教圏の暴力機構の根幹を成すテーマを、これほど丁寧にやってみせたのには、とても感心させられました。

そして何よりキャラ立ちが抜群。ホワイティやクック保安官など、もっと尺を使って掘り下げて欲しい魅力的な人物が多くてもったいない!中でもジェフ・ブリッジスとほぼ遜色のないジェフ・ダニエルズが演じたフランクは、記憶に残る名悪役となりました。あとヘンリー・ライフルを構えるアリスのシルエットは、絶対芽衣子様を意識してる(暴論)

フランクからロイへ、そしてロイからトラッキーへ継承された馬の馴らし方。まさにコーマック・マッカーシーの『すべての美しい馬』の如く、最も神聖な場面に十分な時間を充てただけでも、本作は賞賛に値すると思う。あれだけでフランクという男が本当はどんな人間なのかが伝わって来ます。

逆に終盤のラ・ベルでのジョン・フォード、ペキンパーオマージュの大乱斗は、個人的には期待を上回る出来ではありませんでした。どうしても本作のアクションシーンでは(レッド・エピックを使いながらも)デジタルの野暮ったさが目立ってしまう。あと編集もちょっとギクシャクしてる印象やし、フランクとロイの決斗で俯瞰のショットを入れてしまったのは、うーむ‥といった感じ。(あれでロイが片腕になってたら超絶傑作間違いなし!)

とは言え総じて大満足!!
忘れ得ぬ作品となりました。

それにしても役者陣が文化的断絶を感じさせることなく、活き活きと当時のキャラクターを演じられるのは強いなぁ。日本もがんばろう。
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