たかさき

アンブレラ・アカデミー シーズン2のたかさきのレビュー・感想・評価

5.0
シーズン1を超えてまたもや大傑作!

ヒーロー、タイムトラベル、疑似家族、レトロ、ポップなBGM、無口な殺し屋、ダンス…など大好き要素の詰め合わせ。1話からいきなり意味不明なクライマックスすぎて笑ってしまった。

「そういえば新鮮な組み合わせの会話シーン」が散見されたこのシーズン。兄弟全員(ベンと○○まで!)様々なベクトルで混じり合い、僕の思う傑作ドラマ特有の「どのキャラがどのキャラと喋ってても面白い」という条件を7人という大人数で満たしている。


⚠️⚠️⚠️以下ネタバレ書きます⚠️⚠️⚠️







過去を舞台にした物語ではあるものの、ケネディ暗殺を軸に据えた物語は見やすくて、シーズン1でチラ見せした光の正体など作品の一個奥の設定も盛り込みつつ、自由自在に伏線を張っていく。

前シーズンでも感じたが、今シーズンはより「私立探偵ダークジェントリー」のカオスさに通ずるものがある。(スウェーデン人の殺し屋の行末やラストの異世界感など)

そして「ストレンジャーシングス 」を思わせる、群像劇の巧みさ。2話で信者の手のタトゥーを通じたアリソン×クラウスの邂逅とか、見事すぎて気持ちよかった。

「ストレンジャーシングス」がシーズンのラストにまで各グループのアッセンブルを引っ張る構成なのに対し、この「アンブレラアカデミー 」シーズン2は個々にちょこちょこと接触をさせて序盤から興味を失わせず、5話で一度アッセンブルしてからの、魅力あふれる様々な兄弟姉妹の組み合わせでまたストーリーを展開し、しっかりラストにまた7人(6人)を終結させるという。美味しいところばかりの最高なストーリーテリング。

ヴァーニャを救うシーンの組み合わせとか素晴らしいし、アリソン→ディエゴ→クラウス→ベンのリレーとか鳥肌立つでしょ。特にクラウスがホースを手繰り寄せるシーンは泣きそうになった。


最終話、破滅をもたらしたヴァーニャが窮地を脱する鍵になるという反転や、父親の言葉をヒントにピンチを救う5など、ベタベタの熱い部分も抑えてる。

ルーサーの3枚目感を増したキャラ造形も素晴らしい。前シーズンラストにかけてがやかましかった分、そのヴァーニャへの懺悔をしっかり盛り込む辺りもキャラクターに対して真摯で、筋が通ってる。

脳筋ディエゴの「ヒーロー願望」をストーリー前半のエンジンにするところや、一番関係ないところにいそうなのに、結果的にコミッションの内部について理解が進むところなども面白い。

アリソンの能力描写も白目を追加したことでわかりやすく映えるようになった。(X-MENっぽい)

クラウスとベンの能力拡張があった分、ベンの退場が非常に惜しい。死んだ兄弟という位置付けは画としても面白かっただけに。

ナンバー5は常に能力が“映える”上に、常にストーリーの軸となるので、画面に映る間はいつでも最高。ライラとのBad guy battleや7話の冒頭のオフィス大暴れも最高です。

音楽・劇伴が良いのは言わずもがなですが、ライラがヴァーニャの能力を使い始めた瞬間の「嘘だろ」感が高まるあの音楽とか最高でしたね。

そんなライラを通した「家族」の定義の広がり方で、「あ〜次のシーズンはベンのところにライラが入るパターンで7人だな〜」とのんきに思っていたところへの、ラストのクリフハンガー!!

意外と一方通行の(主観的な)(往路としての)タイムトラベルしか見せてこなかった物語が、ついに「タイムパラドックス」と対峙する!たまらないですね。

答えを知ったうえで5(大人)が2019年へ行ってしまった時点で「何かおかしいことになるのでは?」と思っていたが…そのレベルではない、大きなパラドックスが起きている…!

設定はどうあれ、来シーズンの2つのアカデミーが相対するポスタービジュアルが今から楽しみで仕方ない。


※追記
スパローアカデミーのベンがめちゃくちゃ悪そう→つまりアンブレラアカデミーの6人と育ったからこそあの優しいベンになった、という事実が既にエモい
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