梯子ダルマ

アンブレラ・アカデミー シーズン1の梯子ダルマのレビュー・感想・評価

4.9
もう年間ベスト3位入り、いやこれまで観た作品の中でもトップクラスに面白い。『私立探偵ダークジェントリー』とヒーローものが好きな自分には、どハマりストレートど真ん中だった。

まずは音楽、言わずもがな。
『Don't Stop Me NowのBGMに乗せ、ショッピングモールの婦人服売り場で、動物のマスクを被ったスーツ姿の男女が、ワープしながら逃げる58歳の子供を銃で狙って撃ちまくる』こんなに素晴らしく、美しい一文があるだろうか?

ヒーローとして活躍した子供達。謎の男に育てられ、能力を伸ばした者、孤独に溺れた者、命を落とした者。大人になった彼らが、確定した世界の終末を食い止めるために、時にぶつかり、時にぶつかり、時にぶつかって、行ったり来たり。


最終話でヴァーニャが屋敷を練り歩くシーンには、ビターでありつつも、一種の爽快感がある。敵・味方、なかなか分かりやすい構造に落とし込めないこの物語、どの視点にも共感のフックが効いていて、ゴロゴロと転がり落ちる物語の結末には、ただひたすら拳を振り上げるようなカタルシスがあった。


元々“時間”を扱う物語がとても好きで。ナンバー5回りの話はとにかく楽しい。そこが主軸としてガッツリ絡んでくるわけなので、やっぱり、とにかく楽しい。

ルーサーはキャラクターとしての愛らしさではカバーしきれないくらい終盤の行動が裏目に出まくっていて、「おめぇのせいだろ!それ!」の連発ではあったのだが…。ディエゴが典型的な次男タイプである一方、ルーサーは“頑張って長男になろうとしている”男というか。期待を背負い、最後まで屋敷に残り、命を落としかけて、変わってしまい、時間を捨てた。こう書いてみると、小さい頃のヴァーニャと同じくらい、大人になってから悲惨な目にあっているな。じゃあ、仕方ないか。許してあげたい。だからこそ、長女・アリソンが彼には必要なのだ。

末っ子のクラウスには、しっかり者のベンが付いている。このコンビもバランスが良く、見ていて楽しい。SFの要素を活かして、お調子者のクラウスに「大事な人を失う経験」を付加する展開には恐れ入った。あれで一気にキャラクターとしての深みが出る。

最終話ラスト、ドラマであんな展開されちゃうと、もうそれは、目が輝いてしまう。あそこまで先っぽが深く脳みそに突き刺さったクリフハンガーは久々だ。

ベンの死、レジナルドが全てを知っていた理由、彼はそもそもどこから来たのか、あの光は何だ。まだまだ明かされていないことも山ほどある。

こんなにイカれた物語でも、しっとりと心に残るのは、人を愛する大切さや、自分を認める勇気だ。あとダンスは素晴らしいということ。

シーズン1でほぼ旨味たっぷり味わい尽くした感もあり、ダラダラと続けるような話でもない気がするが、とにかく最低でも、シーズン2は観たいものです。海外ドラマ、オールタイムベスト10入り。本当に、面白かった。