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アバランチのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

アバランチ(2021年製作のドラマ)
4.7
 同作は謎に包まれた集団「アバランチ」の活躍を描く劇場型ピカレスク(悪漢)・エンターテインメント。
「アバランチ」は政治家や官僚、大企業などの富と権力を持つ“強者”に対し、独自の捜査や追跡、そして報復を行う。綾野剛は主人公でアバランチのメンバー・羽生誠一を演じる。
初回放送では「アバランチ」の登場が描かれた。警視庁捜査一課を左遷された西城英輔(福士蒼汰)が新たに配属されたのが、「特別犯罪対策室」。西城は室長の山守美智代(木村佳乃)に同行した雑居ビルで、羽生をはじめ天才ハッカーの牧原大志(千葉雄大)、元所轄刑事の打本鉄治(田中要次)、元自衛隊の明石リナ(高橋メアリージュン)に出会う。
羽生たちは東京の大規模都市開発プロジェクトリーダー・風間が失踪した事件を独自に追いかけ、黒幕を追い詰める。
終盤では偽スタジオにおびき寄せた黒幕に真実を吐かせ、その場面がYouTubeで全世界に配信されていることが明らかになった。
このYouTubeシーンはリアルタイムでドラマ公式YouTubeと連動しており、偽スタジオ内からの撮影目線で配信された。
この仕掛けはツイッター上でも話題になり、ドラマとYouTube映像を同時に見ていた人も。「YouTubeとドラマで映像が違う!!手が込んでる!!」「実際に問い詰めるシーンをYouTubeで流してたのは面白かったなぁ」といった声があがった。
情報屋の裏切りにより爆破テロ現場に急行した同僚が全員殉職し、ただ1人生き残った羽生。
羽生が巻き込まれた爆破テロで羽生の上司で山守の婚約者の藤田(駿河太郎)を失った山守。
ジャーナリストの姉・洋子が、ODAのカンボジアに対する支援金を閣僚が横領していたことを告発しようとして殺害された、デイトレーダーでハッカーの牧原。
芸能事務所に所属している親友が、薬物中毒で亡くなった元自衛隊レンジャーの明石リナ。
代議士が起こした轢き逃げを隠蔽しようとした上司を殴って左遷された西条。
元爆発物処理班の打本。
いずれも、閣僚や代議士や大企業の不正のために肉親や親友が犠牲にされた者たちが、大規模な都市計画による癒着や閣僚によるODAの支援金の還流や上級国民による圧力が原因である医療不正など闇に葬られようとする犯罪を、証人や関係者の自白をYouTubeによる暴露で国民に明らかにする闇の仕置人的なピカレスクロマンが、前半。
羽生たちアバランチが倒してきた閣僚やヤクザたちと裏で繋がり、アバランチのリーダーの山守が最終的にターゲットと狙う内閣官房副長官の大山健吾(渡部篤郎)が企む「内閣調査室を強固にした日本版CIAの設立」を防ぐために大山の裏の仕事の実行部隊である極東リサーチとアバランチのバトル、大山の不正を暴くアバランチの戦いが描かれる後半が、綾野剛や高橋メアリージュンが体を張ったガチンコな格闘アクション、内部に潜入して証拠や証人を集めて証人から引き出した証言をアバランチのYouTubeチャンネルで暴露して無関心な国民の意識を変え「雪崩れを起こす」アバランチの闘うジャーナリスト的な戦いを描くスパイサスペンスと社会派サスペンスを絶妙に組み合わせた民放局にしては攻めた与党や経済界に忖度しない硬派なサスペンスアクションドラマ。
警察も政界も、上の権力による同調圧力に逆らえず、マスコミは政界の圧力により政界に都合の良い情報操作する広報機関になり下がった状況で、アバランチの志に共鳴した新聞記者や内閣調査室の協力者などと協力して大山の意図を読んで裏をかいていくアバランチの活躍は痛快で、見ていて息苦しさに満ちた同調圧力が幅を効かせる世の中で闘う勇気が得られる痛快ピカレスクロマンドラマ。
「もう一度信じてみないか、正義の力を」
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