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アバランチのmaroのレビュー・感想・評価

アバランチ(2021年製作のドラマ)
3.5
2021年秋ドラマで面白かった順位:4/7
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

ダークで重厚なドラマだった。
『新聞記者』(2019)の藤井道人が監督というだけあって、巨大な陰謀が渦巻いている状況が特徴的。

アバランチのメンバーがやっていることは、言ってしまえば世直しみたいなもん。
政治家や警察など、本来なら国をよりよくしようとしていく立場にある人たちによる、不正や犯罪。
それらを独自の調査で調べ、つるし上げる、現代版水戸黄門っぽさがあった。

ただ、彼らは単に悪いやつらを懲らしめるだけではない。
彼らの不正を暴いた上で、そのジャッジは国民に委ねていた。
最終回で明言されることではあるけど、その理由は、このドラマ全体のメッセージに繋がるからなんじゃないかなって思った。

つまり、国民を信じるということ。

アバランチのメンバーたちも、自分たちは何者でもないと主張する。
別に特別な存在でもなんでもなく、そこらへんにいる人といっしょだと。
ただ、ほんの少しでもいいから、普段モノを見ている角度を変える勇気を持ったり、ほんの少しでもいいから、些細な日常を守るために行動したりする人、それがアバランチ。
その小さな動きが、やがて大きな雪崩となる、はず。
まずは、ひとりひとりの小さな一歩から何事も始まるんだということを言いたかったんじゃないだろうか。

だから、国民にジャッジを委ね続けていた。
そして、最終回でも、総理か国民が動くことに賭けた。
きっと彼らならやってくれると。
『日本沈没ー希望のひとー』もさ、大ダメージを受けた日本を、これまで数多くの災害に見舞われても見事に復興を遂げた日本人なら、きっとまた復活できるはずと信じたじゃない。
そういう国民に対する信頼ってのが、アプローチの仕方は違えど、『アバランチ』と『日本沈没』では似ているのかなって感じた。

ただ、個人的にはちょっと長いかなっていう感覚もあった。
アクションも迫力あって、洋画っぽい雰囲気もあったから、2時間の映画二部作でもテンポよく観れたんじゃないかなーって。
まあ、連ドラで10話あったからこそ、アバランチが国民を信じているっていうメッセージも強く伝わってきたってのはあるんだけど。

ちなみに、アバランチとは英語で“雪崩”の意味。
終盤の山守さん(木村佳乃)のセリフがよかったね。
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