「喜んでなる、怪物に」
これは配役と脚本が秀逸。視聴者をどこまでも翻弄させるクライムサスペンス。
復讐もの×ヤクザもの、この手の作品は相関図がややこしくなりがちで、且つストーリーも複雑になる。でも本作は8話という短さで、簡潔にまとまっているから見易い。
何より、主人公演じるハン・ソヒのアクションシーンと演技力はとにかく圧巻だった。
1話の走り方を見ると成長がよくわかるので要注目。
正直、絶賛したいけどネタバレ無しでは語れない。
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ーーーーーネタバレーーーーー
サブタイトルで察してしまう人もいると思うので変えるべきだと思う。
騙されない人は騙されないと思うが、本作は結構ミスリードを誘う要因が巧みだった。
例えば、ガンジェ。彼は誰がどう見ても悪役であり、チェ・ムジンの悪行を覆い隠す程の残酷性を強調して描いていた。(推理する猶予を与えないポジション)
そして絶対この人の立ち回りも欠かせない、チェ・ムジン。彼は1話から冷酷さが伺えたはずだがヤクザのボスなんてこんなものだろうという補正が見事に邪魔した。
チーム長は、ラスボスにしては弱いと思わざるを得なかったが、意外とヤクザの宿敵はサツなので、権威的な意味でしぶとさを持ってる。
一番絶賛したいのはそれぞれの配役。こういう脚本は役者の顔つきが重要になる。
トンチョン派は優しい顔つきを作るのが上手でなくてはならない。
一方、サツ側は小憎たらしさを持っているのがベター。
心理学的に量刑はルックス次第と言われてる。つまり、見た目が良ければ良いほど刑が軽くなる傾向にある。
このチーム長はチビで感情論を振りかざし、ハゲ散らかしている。所謂冴えない人物像として描かれていた故に、そういう視聴者の心理を狡猾に利用したのではないか。
不思議なことに全てを知ってから見ると印象がガラッと変わる。特にチェ・ムジンに関しては一貫性のあるキャラクターだから尚更凄い。
そう考えると配役とキャラクター設定がピッタリマッチしてこそ完成される脚本。
本作はまさにトリハダ級のクオリティだった。