なお

妻、小学生になる。のなおのレビュー・感想・評価

妻、小学生になる。(2022年製作のドラマ)
3.5
”黄泉がえり”

NHKの朝ドラ『おちょやん』、『おかえりモネ』でそれぞれ主要登場人物を務めた毎田暖乃さんと蒔田彩珠さんが出演している点に興味を持ち視聴開始。

また、自分が敬愛する作家・東野圭吾氏の小説作品『秘密』に設定が非常によく似ていることも気になった。

✏️難しい役どころ
前述の『おちょやん』ではダメダメな父のモラハラから弟を守りつつ、貧困にも負けず強く生きる少女の姿を好演した毎田さん。

本作では、時に「竹を割ったような性格で、亡霊のような日々を過ごす夫と娘を鼓舞する妻」、時に「母からの心ない言葉に自らの存在意義に疑問を持つ内気な小学生」という非常に難しい役の演じ分けを要求された彼女。

貴恵が”憑依”している時の演技は、石田ゆり子さんが演じている時の”貴恵そのもの”というよりはまだ若干「ませた小学生」感が強いのが気になったが、慣れてしまえばそこまで気にならなかった。
彼女の今後の成長にも期待。

✏️それよりも…
それよりもやはり気になるのは、こういうジャンルの日本ドラマ特有の、全体的に漂う「お涙頂戴」感。
特に自分は前述の『秘密』を読んでしまっているので、無意味とは分かりつつどうしても比較してしまう。

また、「ママがいないとな~んもできないよォ~」と過度に亡妻(母)に頼りきりになる圭介と麻衣の姿にも若干イライラが募る。
感動よりもそっちの感情が勝ってしまうこの感じ。とても残念。

✏️家族模様・恋模様
そんな新島一家とは別のところで展開されるドラマはそれなりに楽しめた。
年が離れていることは分かりつつも、圭介に淡い恋心を抱いてしまう守屋好美(森田望智)の初心な感じは見ていてキュンとしてしまう。
なんであの恋は実らないの…

また、貴恵の魂が憑依する白石万理華(毎田暖乃)の母・千嘉(吉田羊)が徐々に娘との関係性を修復したり、自らの考えを改めていく姿も良かった。

☑️まとめ
扱うテーマはいいのだけれど、細かい演出で損をしている印象。
いまいち感動の波がクライマックスに乗ってこない。

前述したような「ひとりひとりのストーリー」はとても粒だっていたので、後はそれをうまく1本の線にまとめあげられていれば…!
なお

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