なっこ

ナンバMG5のなっこのレビュー・感想・評価

ナンバMG5(2022年製作のドラマ)
3.2
家族のなかにいても、“個”が優先される時代。同じ親から生まれ同じ環境で育っても、目指したいところ、なりたいものは違う、ヤンキー一家の次男という設定を借りて、そういうことをコミカルにけれど切実に描いたドラマだと思う。

もはやヤンキーはファンタジーと同じレベルで遠い存在になってしまったのだと思う。

『今日から俺は』でも、そう感じたけれど、ヤンキーファッションを忠実に再現したり、それっぽく見せている時点でもう、現実には存在しない懐かしさのある存在であるかのように、ヤンキーは遠くなりにけり…世代じゃないのにしみじみそう感じた。

あと今季春ドラマで気になったのは、声優さんの起用。このドラマでは愛犬の松の存在。彼の心の声は、視聴者には届いているけれど、登場人物たちには聞こえていない設定。他のドラマでも、ビジュアルは俳優さんで他の人が声をのせることで、キャラクターを差別化し印象を変化させることに成功している気がした。例えば、『17才の帝国』のスノウや『村井の恋』の春夏秋冬(ひととせ)。
すごく面白い表現方法だと思う。セリフは別撮りとかってきっと以前からあったことなんだろうけれど。こんな風に意図的に行うと、声優さんのファンが連続ドラマを視聴するきっかけにもなるだろうし、ドラマ視聴者がその声を認識するきっかけにもなる。
もしかしたら、この面白さは海外版で吹き替えになってしまえば即失われてしまう効果なのかもしれない。声優という仕事が広く認知され確立されている日本ならではの光景なのかどうかは分からないが、これからもこういう起用が増えていくなら、日本独自の文化になっていくのかもしれないと思った。

※以下各話視聴中の感想
#最終話
ヤンキーで最強な主人公に「心配だからケンカしないで」って言えるのが、やっぱヒロインの特権だよね。

#6
木更津の花火のエピソード泣けた。
セリフだけなのに情景が目に浮かんで。兄弟愛って良いね。

#4
いじめの問題は介入が難しい。これまで暴力でねじ伏せて解決してきたのに、他校の進学校の生徒間の問題にはちょっと慎重になる彼らの反応が意外で面白い。学校という檻の中で、長時間一緒にいることを強制されていれば自然と序列が生まれ、互いの立ち位置ばかりが気になって強いものには巻かれてしまうものだろう。それでも、ここで描かれるように、学外の世界にもちゃんと自分という存在の意味を見つけておくことが大事だと思う。ひとりで立ち向かうにはなかなかヘビーな状況。心折られてしまう。
どこかにいる自分の味方の存在を心に持っておくこと。家庭でも他校の友達でも塾でも習い事でもなんでもいいから。ひとつの世界だけを生きるのは危険だ。で、結局暴力で解決してないか、とつっこみたくなったけど、ツレという懐かしくて特別な言葉を聞けたから、良しとしたくなってしまった。

#1
原作未読。ヤンキードラマはこれまで完走したことないかも。私にとっては主人公よりもマドンナが気になる。脇の女の子をどう描くかも大事なポイント。
初めて見たドラマの役柄が薄幸だったから見かける度いつも幸せになって欲しいと願ってしまう森川葵ちゃん。今回はコミカルな役で安心した。「いじめ、ダメ、ゼッタイ」とか、このセリフで面白いってすごい才能。とりあえず、彼女のこの先を見ていたいって感じかな。
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