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今、私たちの学校は...のmのレビュー・感想・評価

今、私たちの学校は...(2022年製作のドラマ)
4.7
全話鑑賞。面白かった!
韓国Netflixゾンビ大作ドラマ。まず最初に書いておきたい事は、なんとヒロイン役が「はちどり」の主演の子です!売れた!!いきなり凄いメジャーになったぞ!!!

流石韓国。製作費が潤沢にあるのが一目で分かるし(これたぶん校舎内は全部スタジオにセット作ってると思う)、スタッフ・キャストの力量も充分で、ハイクオリティです。ん?と思う所が無くはないけど、それを気にさせない勢いと面白さがあって一気見したくなるくらいハマった。長丁場なのにダレる瞬間はほぼ無い。
主役の若者達に良い具合に親近感を持たせてくれるので、非情な展開の緊張感と哀しみが高まっている。学校というドラマがみっちり詰まった舞台設定も効いている。

ゾンビは今時の走るタイプ。ゴア描写は抑えめでも死の残酷さと緊張感はたっぷり、アクションもガチで大迫力な上にアイデアも豊富!ここまで学校中を使い切ってアクションしてくれるとは思わなかった。役者の身体能力も皆高く、特に主人公と竹内涼真似の子の2人がズバ抜けて動ける。「新感染」シリーズといい、もうゾンビ物の今の覇権は韓国にあると言って良い。ただ今作はゾンビの殺し方のルールはかなり雑(頭部破壊しても死なないのに首を矢で刺すと死ぬ時もあるとか)。

脚本の所々で機能していないマズい展開がある(引っ張った割りにドラマに活かされる寸前で雑に死ぬ登場人物が何人かいる)のは、原作から逃げられなかったのか、もしくは儒教的な価値観で意図的にドラマを断絶させているのか。その辺はちょっと不満はあった。


明確に「アイアムアヒーロー」(あとたぶん「鬼滅の刃」も)から引用した設定があるのだけど、ただそこに一捻り加えてあるお陰でドラマ性とサスペンスに貢献している。



1話の冒頭から雨の屋上でいきなり繰り広げられるいじめ暴行長回しシーンで、既に作り手の野心と気合いと実力と製作費の潤沢さが炸裂。一気に引き込まれる。長回しは2話以降でもあって、どれも目を見張るクオリティだった。2話の食堂長回し地獄絵図とかほんと凄い。

登場人物達を紹介しつつ、日常から阿鼻叫喚の地獄絵図へとスッと突入する演出の手際が良い。

ダンサーによる動きの指導のお陰か、ゾンビ一人一人の動きも素晴らしい。

1話から最後まで一貫するルールが『人間でもゾンビでも、どんなに激しく暴れて走っても女子高生のパンツを絶対に見せない』という事で、かなり激しいアクションの連続なのに女子高生のスカートが捲れてパンツを観客に見せるような下世話なお色気サービスは絶対にしないのが信頼できる(日本のNetflix作品なら絶対に見せようとしてくる)。生き残りグループの女子は皆ジャージを履いていたり、そもそもスカートではなくズボンを履いていたりする。

ちなみにこのドラマの世界はまさかの「○○○」が映画として公開されている世界線なので、登場人物達のゾンビへの理解が早い。

この地獄の事態を招いた張本人はかなりのマッドな人で、あんたゾンビ作品史上に残る大罪人だよ・・・
この人以外にもずっと露悪的な言動をしてきた登場人物がゾンビ作品史に残る悪行を実行したり、最悪な事をしでかす人が出てきたりとこの作品内でゾンビ作品史上に残る悪行を成す人が3人も出てくる。
悪役の不良の彼は明確に人間としての弱さが見えているので、ここまで悪逆非道でも哀れさが少し残る。

たまに演出が状況の深刻さに反したユーモラスさを出してくるのは、ギャップについていけなくてかなり戸惑う。


若い俳優陣は皆個性も演技力もあって素晴らしい。「はちどり」のパク・ジフも立派に大作のヒロイン、というか実質主役を担える存在感と演技力があって良かったな。竹内涼真似の子は確実にブレイクする。後半でやってくる、彼らが焚き火を囲む歌と語らいのシーンはそれぞれの人間味がグッと出てきて感慨深い。アーチェリー女子と不良女子のいがみ合いまくりながらも近付いていく女子コンビが個人的には推し。
校内感染爆発の火種を切るゾンビ化第一号のいじめっ子女子が、普通にヒロイン・レベルの存在感のある美少女である事(そして彼女が強烈なゾンビ・アクションをする事)は「新感染」のゾンビ化第一号だったシム・ウンギョンからの伝統なのかな?


社会情勢やネットいじめといった現代性・社会性も取り入れている所が韓国エンタメの巧い所。見捨てられ犠牲になる子供達の姿は、確かにセウォル号沈没事故を彷彿とさせる。


もっとシーズン2にクリフハンガーして終わるのかなと思いきや、これで完結しても良いくらいに大体やるべき事を終わらせて綺麗にエモく終わる。ただ最後の最後に妙にヒーローものっぽい感じとそれに対する各々の微妙なリアクションが来て、えっこれ何?という感じで終わった感はある。
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