最高のドラマ、ログライン。ずっと笑える
出逢って惚れる女がことごとく犯罪者のうぬぼれ刑事。この旨いコンセプトに甘えることなく、別の価値観も提示させる。
惚れた女が犯罪者だったのではなくて、犯罪者だからうぬぼれは直感的に惚れてしまう。うぬぼれの秘めたる刑事センスがラブロマンスに直結し、本人の意図とは違うところで事件を解決させる。
しかし事件を解決してしまってはうぬぼれのロマンスは成就しないというところに、お決まりの葛藤がある。そして、毎話の決めの"逮捕状か結婚届か"犯人に選択を迫るシーン。
毎回同じ結末ではあるけども、しっかり展開を描けているのが凄い。
うぬぼれが犯罪に反応して恋愛しているという複雑な事情が、台詞で説明されずとも、回を追うごとに恋愛対象の齢・性別の幅が広がることによって間接的に分かっていく。
本庁勤務の優秀だったはずのうぬぼれは、恋人の突然の裏切りによりショックを受け世田谷警察署に左遷されてしまう。それから、うぬぼれは視センサーが開花し、犯罪者に対して恋に落ちてしまうようになる。
そこから10回の失恋によって、うぬぼれは真の恋愛に向き合うことになる、という流れがシンプルながら素晴らしい。
うぬぼれが失恋する時、犯罪を犯してしまった女たちは社会から拒絶されるはずの自分を愛してくれた事実によって、心が救われる。この屈折したハッピーエンドが、上滑りなフィクションを回避して、娯楽フィクションとしての強度を保ったまま成功しているのが凄い。