トケグチアワユキ

メンタル強め美女白川さんのトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

メンタル強め美女白川さん(2022年製作のドラマ)
3.6
タイトル見たときはハラスメントものかなと思って、井桁弘恵で?と疑問だった。
で、いざ始まってみると超ポジティヴシンキングなビジネスパーソンのストーリー。
うわー、私の天敵みたいな主人公じゃんと、観るのを断念しそうになったら、ムカつく鼻につくと、やっぱりハラスメントもの。
散々ハラスメントを受け続けて、自己防衛のために身に着けたポジティヴは、行き切って周りにも好影響を与えたってハナシ。
いかにも2022年の今だからこそのドラマ。

〈ポジティヴ〉〈健康的〉に価値を見出すことがここまで素直に受け入れられる時代が来るとは、私のようなひねくれジジイは思ってもみなかった。
見るもの触れるものすべてが気に入らないと反抗することが、10代20代のアイデンティティだった時代に生きてきた者としては、こんなのは体制への迎合・従順でしかないと今も思うけど、このドラマの中のように、性善説で生きていける世の中が実現するのなら、そんなに理想的なことはない。
でも、現実には利権とカネにまみれて、架空請求を繰り返すような世の中だし、よくわかんねぇイデオロギー的難癖付けて他国へ武力侵攻しちゃう世界よ。
見て見ぬふりだけじゃ解決しないし、私ができることはこれなんです、は逃げだと思う。
イデオロギー的には決して相容れない内容の絵に描いた餅的ドラマだった。

じゃあ、なぜ最後まで観たか。
正論としての理想論を観るのは、それはそれで価値あることだし、清々しくもあることは確か。
そして、井桁弘恵と秋元才加の迷いの表情に嘘がないと思えたから。

このドラマにまったく価値がないとはこれっぽっちも思わない。
清く正しいことには大きな価値がある。
ただ、人はズルい。見られてないとわかると、平気で汚いことをする。
こういう言い方は傷つく人もいるかもしれないが、人を性悪説で見ないわけにはいかない。それが現実。
たったひとりの悪人のために、疑心暗鬼で生きる現実を考えざるを得ないドラマだった。

こんな書き方しちゃったけど、井桁弘恵は魅力的だったよ。