マッチョデーモン

重版出来!のマッチョデーモンのレビュー・感想・評価

重版出来!(2016年製作のドラマ)
4.6
漫画をほとんど読まなくなって随分経つがまた漫画を読みたい気にさせられる、多くの人が関わった創作物、創作物に限らず様々が素晴らしいと感じられる仕事ドラマ。

黒木華演じる元柔道日本代表候補の新人編集者 心が主人公であるが物語で焦点が当たるのは他の先輩編集者や心と親しい営業の小泉や担当漫画家の数々と多く非常に話の広がりがある。特に良かった点は必ずしも心を正解として持ってくるのではなくて異なる視点を描かれている点。熱血理想主義の心とは対照的に売れる作品を重要視してヒット小説のコミカライズなど企画物を主に手掛けるドライな安井がいるのだが、彼が心の影響で改心すると言った安直な展開はなく肯定される。一度雑誌を潰した無念があるだけに安定したヒット作を出す重要性を熟知していて、彼の存在があるからこそ他の皆が冒険もできるのだと。このキャラクターは物語の深みを増している。ただ安井に潰された漫画家はどうなんだという気持ちもある。

読者側として感情移入できる点もあって第一話でベテラン漫画家の三蔵山をオワコンと中傷するネット掲示板のような悪質な読者の声もあれば、打ち切られたイケメン漫画家成田を立ち直らせたのが読者アンケートに真摯に向き合って分析したことだったりこの事も複数の視点が向けられている。個人的に漫画をあまり読まなくなったのは連載期間が長すぎるのが多くなった事なのだが、ドラゴン急流やツノヒメさまの下りを見てたら少し考えを改めようかという気になった。惰性で延命してるとしか思えないのはたくさんありますがね。それとある漫画に火がつく瞬間が描かれているのは良く分かる所。各所の地道な努力で重版出来に結びつくタンポポ鉄道や進撃の巨人のブレイクを思い出させるピーヴ遷移なんかは非常にワクワクする。

出演者は実は初めて井之頭五郎以外の松重豊を見た。何か食べてないとなかなか認識できないもので1話の時点では気付いていなかった(笑)他にはドラマではあまり見ない印象のあるオダギリジョーが内も外もパーフェクトなイケメン。先日見た『ゴーイングマイホーム』で名子役を発揮していた蒔田彩珠が成長した本作でも印象的。そう出番は多くないがシリアスな高田純次も珍しくて見もの。漫画ファンに取っては多分役者より劇中漫画の方が豪華なのだろうが小学館系がメインなのかあまり縁がなく藤子不二雄A先生以外はよく知らなかった。留美子か充なら分かるんだけど。