Cisaraghi

私たちのブルースのCisaraghiのレビュー・感想・評価

私たちのブルース(2022年製作のドラマ)
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題名にブルースとついているのと豪華キャストに惹かれて、またもやドラマ断ちの🈲を破るの巻。主役が入れ替わるオムニバス形式と、韓国南端のリゾート地・済州島らしいけどらしくない、明るくて軽やかな音楽のおかげで、最後まで挫折せずに観続けられた気がする。ブルースは使われていなかったようだが(?)、特に最初に流れるボサノバアレンジのオリジナルイタリア語版“Quando Quando Quando”と、オリジナル·)インストゥルメンタル曲の数々がとてもよい。南仏的な雰囲気のタイトル曲や、ボサノバっぽい曲をはじめとする“sun”をテーマにした一連の曲等々。韓国映画やドラマで、これほど全体的に音楽が好みなのは初めて。

登場人物は、今時こんな人たちいる?と思うほど全員それぞれに不幸を経験してる苦労人設定で、話はなかなかにへヴィー。でも、演技は概ねコミカルでトーンも明るい。映し出されるのは済州の海女や漁師や市場で働く地元の人々、つまり、めっちゃローカルな生活感溢れるリアル田舎民なんだけど、その映像にミスマッチな明るく洒落た音楽が、野暮ったい人情ドラマになりそうなところをうまく回避していると思った。そして、済州島の景色や海がとても美しく撮られていて、そこに透明感のある音楽が重なるのがまたよい。

イ・ビョンホンにキムウビン、『母なる証明』のキムヘジャさん、パラサイトの家政婦さん、ハンジミン等、役者さんたちの達者な演技に否応なく引き込まれるドラマで、全員済州島の地元民に見えるが、何と言っても驚いたのはビョンビョン。こんなセレブのキラキラのハリウッド俳優の大スタービョンビョンが、済州島のしがないトラック行商人として全く違和感がないなんて!済州島に行ったら、本当にビョンビョンがトラックの前で手拍子足拍子を打ちながら呼び込みをしてるんじゃないかと思うほどだ。参った。相手役シンミナとの実年齢差や、四歳違いという設定はさすがに無理があると思うけど…。

初っぱなでドラマを大きく印象づけ、途中でも使われるTony Renis(多分)の“Quando Quando Quando”がOST曲集に入っていなかったのがすごく残念。オリジナルじゃないから仕方ないけど。でも、YouTubeでは聴けます!
https://youtu.be/qYgOKtpi3Z8
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