漱石枕流

ブラック・バードの漱石枕流のレビュー・感想・評価

ブラック・バード(2022年製作のドラマ)
4.1
凶悪事件が起こったとき、私は真っ先に思う。「どんな顔をした人間がこんな犯行を起こすのだろう。一度、見てやりたい」と。やっぱり、人間はどうしても顔から入ってしまずにはいられないのだ。

そういう意味で、この作品に登場する犯人の顔立ちはとても興味深い。一見すると人殺しなどできなさそうな気弱な人物に見えるのだが、その奥に狂気が隠れている—— なんとも不気味な存在感があるのだ。

この男を演じている俳優が『リチャード・ジュエル』のポール・ウォルター・ハウザーだとあとで知って驚いた。もし本人が出演していると言われても、納得してしまったかもしれない。この演技力のおかげで、ドラマはたいへん見応えのあるものになっている。

ひとつ少々残念なのは、最終回の展開が若干荒い点。抜け落ちているシーンがあるのと、あと思っていたほど主人公が追い詰められなかったのが拍子抜けだった。

ただ、それを差し引いても優れた作品であることに変わりはない。

[ドイツ語吹替音声+日本語字幕]2022/11/09-15 Apple TV+
漱石枕流

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