Pam

クイーンの帰郷のPamのレビュー・感想・評価

クイーンの帰郷(2022年製作のドラマ)
3.5
ドラァグクイーンものの家族愛といえば、最後はみんな和解のお決まりのお涙頂戴かと思うかもしれない。


だからといって、敬遠するのはまちがい。予告編からびっくりするほど映像から品が漂うのだ。これはちがうな。。と、あの下品さがいいという人も要るかもしれないけど、私はこのお品の良さがで吸い込まれてしまった。

この俳優さんの立ち振舞オーラがあまりにもすごいの調べたら、コメディ・フランセーズで認められた二人目の外国人俳優。いわゆる国立劇場のコテコテの劇場人。映画『シンドラーのリスト』のドイツ人将校役ででていたポーランドのユダヤ人俳優ということで納得。

さすがコメディ・フランセーズ出身だけあって、なんだろう台詞回しといい、動作やふるまいが大げさではあるが見ていて美しいのだ。とてもエレガンスだし、美しく、ドラァッグクーンにぴったりなのだ。正直なところ、この人のフランス語も少し訛りがあり、それもかなり魅力でもある。外国人のコケティッシュのかたまり。フランス人にはない謙虚さが垣間見れる素晴らしいフランス人俳優ね。

まぁ彼の魅力はそこまでにして、ポーランドの炭鉱事故が舞台という、、ええ?まだあるんですか?炭鉱夫?この時代に?だけど、ポーランドの燃料のだいぶぶんはまだ炭鉱にたよってるとWikiで読んで、また納得。

物語は、妊娠させた女性をすぐ捨ててパリにでて仕立て屋をしながらドラァッグクーンをしていた主人公のロレッタことゲイのシルヴァン。ちょうどパリから南仏の引退生活を送ろうと思ってた頃に、ポーランドの孫娘から手紙が届く。後悔も楽しみも含めていざ恐る恐るポーランドに帰還。孫娘に会ってみると、「ママを助けて、ママに腎臓が必要なのと」。。。そこから始まる家族の物語。空白の家族、LGBTの家族。そしてドイツの経済発展の裏に取り残されたポーランドの炭鉱町。

彼のしぐさひとつひとつに、都会人のいやみったらしさを表現させた演出も素晴らしい。東欧の無駄のないセット、東欧の女優たちの図太い力強さもいい。

お話は定形ではありやはり陳腐である。
その分安心して見られる。ただポーランドという知らない国の美しさと、それでも炭鉱夫、マッチョの象徴を最後まで料理できてない甘さは否めない。

ポーランドも炭鉱を閉鎖する方向で向かってはいたがこのウクラナイナ事情で継続を余儀なくされるかもしれない。ポーランド版ヨイトマケの唄も聞けて素敵よ。


ドラァッグクーン時代の音楽もすごくフランスらしい選曲。彼の時代の自由のフランスの象徴的な音楽。

おすすめです!
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