稀代の英国式コメディアンであるローワン・アトキンソンの新作は、邸宅の留守番員として派遣された男と一匹の蜂のドタバタシチュエーションコメディ。
豪華な邸宅を舞台とした十五分未満のエピソード郡から成る全九話構成のドラマシリーズ──話数を分けたことで断続的で散漫な語り口になると思いきや、邸宅のギミックや物品を用いてのシチュエーション事のコメディとして華麗に成立しており、シリーズとしても各話としても確かな満足を得られる作品だった。
一話から蜂の到来を受けて早々に大惨事を招くおっちょこいちょいな不器用な男像は正にアトキンソンの十八番であり、根の人の良さが漂う面構えと雰囲気ゆえに露悪的で目も当てられない所感を覚えないのは流石の適任である。
加速度的に取り返しの付かない事態に陥っていく泥沼ぶりは痛快で、火炎放射器のシークエンスの胸の奥で溜まりに溜まった物が爆発したような叫び声が非常にツボだった。