えぬ

ウ・ヨンウ弁護士は天才肌のえぬのレビュー・感想・評価

ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(2022年製作のドラマ)
3.5
序盤の4話はすごく面白かった。その後ちょっとずつ勢いが落ちていき、8話まででもまあまあ面白く見れてはいた。けど、後半はあまり好きな流れではなく苦戦続きで、最終の2話はやっと面白さが戻った感があったので、見終わっての満足感は一応あった。

ヒロインを取り巻く周囲の人たちも魅力あるキャラに演技上手な人を当てていて、役柄をしっかりこなせていて良かった。特にカンギヨンは「18の瞬間」の教師役とか、「キム秘書は」のアドバイザー的友人役でもなかなか光っていたけど、こういうメンター的役割だとものすごく映えて魅力的な人物を余すところなくこなせる。彼の一番の当たり役ではないかと思いました。このドラマは、彼の存在や演技こそが物語を引っ張っていったとすら感じた。

ただですねえ…やっぱりこの題材は相当勉強してしっかり理解してないとちゃんと扱うのが難しい題材だとも思った。同じ韓ドラの「グッドドクター」ですら私には完全ファンタジーだったけど、このドラマはもうここまでくるとファンタジーすら軽~く超越してお花畑の広がるメルヘンの域だなあ、って。そういうものだと割り切って見てましたが、ひずみみたいなものも結構出ていたようにも思うので。

主役のパクウンビンは本当に頑張ったと思います。セリフも長いものが多いし、始終気を抜けずで役柄にしっかりとなり切り続ける必要があるので相当大変だったはず。

でもリアリティという意味合いでは、やっぱりメルヘンでしかないように思います。これは役者さんがどうこうというのではなく、求められた役割はすごく魅力的にこなせたね…という感じでしかないというか。一方、知的障碍を伴う自閉の子を演じた彼は、リアリティという面ではものすごくうまかった。その対比がちょっと大きく感じられてしまったなあ。

日本、韓国に限らず、アメリカやフランスなんかでも、身体障碍、知的障碍、精神障碍あたりを題材として取り扱った映画やドラマではいつも感じるけど、結局はその社会の受け取り方や姿勢や取り組み、社会としての一種の成熟度が作品にそのまんま反映されちゃうのだな、と。そういう意味合いでは個人的にはすごく残念なドラマでした。日本も全然他人のこと言えないのだけどね…。
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