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エルピス—希望、あるいは災い—のkadocksのレビュー・感想・評価

4.8
毎話コメント書いたから総括。
マイナス0.2は酷い音楽と瑛太の使い方に。

この作品の身の上は色々あちこちに書かれているし、北関東未解決冤罪事件もリアルタイムで日テレで見ていた上に例の本もしっかり読んでいる身として、あくまでもフィクションとしての評価をしたい。ドキュメンタリー的な冤罪事件として観ると物足りないし、AmazonPrimeで失敗したような話になってしまう。

だがフィクションとして観れば相当高度な作品となっている上に、作家性も高く今年一番の邦系ドラマだと思う。

スタジオドラゴン作のような予算は見込めず、スタッフの質も下がる今の現状を鑑みれば仕方ないとは言え、撮影ワンシーンワンシーン、編集の細部丁寧に丁寧に作れば十分韓国ドラマと戦える作品が作れると言うことを証明出来た。

もちろん大根さん以外の助監督レベルの回を除いてだが。あの2回は酷かった。日本の先行きがまだまだ見通せないごくごく普通の作家性ゼロな回。

「17歳の帝国」に「エルピス」と今年二大傑作を生み出した佐野さんのインタビューにも丁寧に描く事で戦うしかない、と言っていたが2作ともまさにそんな作品となった。
1話45分で10話。日本のシビアな環境は変わらない。最終話なんて完全に舞台会話劇。メインの3人のみを濃密に描く事でエピローグ含めスマートに描ききって久々に省略の美しさを感じた。

一方で短いので犯人を分かりやすく描かなければならずいかにも犯人ですと名札をつけた瑛太を描いたのがやはり失敗。観客の興味を失わせ、事件の先が読める展開は興醒め。冤罪を描くのでなく真実を追求出来なければ壊れる主人公達を描くのはわかるが、主軸と言える事件は韓国ドラマのように想像を超える展開がなければ、もう少し引っ張るべきだったと考える。

もう一点。音楽。生演奏に拘るのはわかるが、才能無くボロい。エレピの曲とか何なんだレベル笑
一方で主題歌の仕掛けは曲含め観客の興味も惹き
良かった。

まあとにかく傑作。
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