ソラアユム

プリティ・リーグのソラアユムのレビュー・感想・評価

プリティ・リーグ(2022年製作のドラマ)
3.7
題名:プリティ・リーグ
鑑賞日時:2022年10月2日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
評価:3.7(MAX5.0)

『女子がバットを振る姿など、果たして見に来るお客はいるのでしょうか?』
 

鑑賞期間:2022/9/12~2022/10/2
2022年31本目

【良】
・人種&セクシャルマイノリティ×スポ根物
 1940年代を舞台に、性別、人種、セクシャリティの事情で本来の自分を抑えて生きる人々の心の葛藤を野球の熱量に乗せて描き出す意欲作。野球がしたくてもチャンスをもらえない黒人女性マックスの悔しさがこちらにもひしひしと伝わってきます。

・個性豊かな登場人物たち
 女子プロ野球チーム「ピーチズ」の主要メンバーは全員個性的かつ魅力的だったと思います。スペイン語を話す3人と“ピーチズの大砲”デルーカが好きです。キャスティングは見事にハマっていたんじゃないでしょうか。

【悪】
・誠実さが仇となったか…
 女性差別、人種差別、セクシャルマイノリティのイシューへの言及、弱者が搾取され続けるスポーツビジネスの世界…。議論すべき様々な問題に対して、積極的にアプローチした誠実な作劇が、少なからずストーリーを鈍重にし、エンタメ性を後退させているのも事実かなと。話のピントは鮮明なほど合っていますが、描かなければならない要素が過多で、一本のドラマとしての魅力や完成度に大きな影響を及ぼしていると思います。特にEP1~2あたりは、非常にテンポが鈍重。マックスの話はストーリーの軌道が乗り始めてからで良かったのでは。野球をとっかかりにしているので、まずはしっかり“野球”を描いて欲しかったです。そこから、現在でも問題となっているイシューに言及していく流れでいいのではないでしょうか?野球=チームとしての問題と主人公の個人的な問題も全く連動していないので、個人の問題が解決したから、野球の試合の流れも良くなります、は流石に作劇が安易すぎると思います。

・野球を題材にしたドラマとしては…
 試合をしっかり描かないのは大きな不満点です。最終EPの試合程度に、もっとバンバン描くくらいでやっていただかないと。野球自体の描写に関しても、キャストが頑張っているのは誰の目からも明らか…なのですが、違和感は多めですね。投球フォームと後からCGで付け加えたボールの軌道が全く一致していない。腕の振りとボールのスピードが全く合っていないせいで、至近距離でも速球で野手と野手がボールのやりとりをしているように見えるのはどうなのか。打撃に関しては、違和感なかったので、守備や投球の面はもう少しこだわりを持って描写していただきたかったです。仮にも、女子プロ野球リーグを題材にした話ですから。それから、もう少しピーチズのメンバーの野球スキルをピックアップして欲しかったですね。足が速い、知略に優れる、守備が巧い、打撃センスがある、長打力がある、強肩…せっかく個性的なキャストが揃っているのだから、ここら辺の掘り下げはもっと欲しかったです。

【総評】
 S2を見るかは微妙。女子プロ野球リーグを題材にした作品は貴重なので、もっと野球要素が欲しいかなと。


以上