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モダンラブ・東京のmのレビュー・感想・評価

モダンラブ・東京(2022年製作のドラマ)
5.0
注:点数は5話のみのものです。
5話、黒沢清監督回「彼を信じていた十三日間」。
黒沢清監督最新作!!!主演は永作博美&ユースケサンタマリア!「ドッペルゲンガー」の時の布陣じゃあないですか・・!!

自分が黒沢監督をずっと好きで尊敬しているのは、黒沢監督が常に進化し続けているからだと改めて実感した。ドラマだけどこれは実質黒沢清映画最新形、本当に大傑作だった。
主人公にとって一生忘れ難い感情を残していく思わぬ愛の物語。嘘を追求するTV報道人の主人公が嘘をつく男に惹かれていく、人間という生き物の豊かな矛盾。黒沢清映画らしい『死』に対する価値観と向き合い方(個人的に金原ひとみ著「ミーツ・ザ・ワールド」を想起した)。永作博美の流石の巧さと、得体の知れなさで完全に黒沢清世界の住人となったユースケの良さ。
終盤の河辺での長回しは黒沢清映画の中でもベストに近い凄まじく豊かなショットだった。坂道のシーンも素晴らしい(ここは盟友ポン・ジュノの「TOKYO!」のラストを想起させる)。

東京にはまだこんな知らない場所があったんだな、という不思議なロケ地があったのも印象的。


今回のカメラマンにはドラマだけでなく今後の黒沢組の映画も撮影してほしい。


劇中で医大の女性と男性の合格比率の操作という実際の事件を取り入れたり、政治家への追求だったりと、黒沢監督が現代日本社会への憤りを作品内で結構ダイレクトに描いているのも新鮮で、個人的にはそれが嬉しかった。
そして相変わらずだけど女性描写が偏りもなくてさらりと自然に尊重していて良いし、いつもの風の演出も今回は不穏さではなく運命性をより強調してくる。突風のようにやってきて、そよ風のように定着する愛。黒沢清監督の進化、まだまだ気になる。
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