ユーキエー

silentのユーキエーのレビュー・感想・評価

silent(2022年製作のドラマ)
4.6
ヒゲダンが主題歌のドラマ始まるなと、軽い気持ちで見始めた第1話、そのラストにはすっかり心を鷲掴みされておりました。
主人公の紬と想の話がメインですが、毎回クローズアップされる登場人物が変わり、それぞれの思いが想像を超えて来るんです。みんなそれぞれが主人公だっておかしくないくらい、言葉や気持ちが強く伝わって来ます。
なぜこんなに心惹かれるのかとSNSを見ると、たくさんのこだわりポイントがある事がわかり、更にハマってしまいました。

脚本の秀逸さ
言葉のセンス、チョイスが素晴らしい。
説明的ではなく、短い自然なセリフや表現で状況が理解できる。
言葉の対比が随所にあり、序盤のセリフが後半効いてきたり、繰り返す事や表現が変化していく事で印象的なシーンになっていく。
一言一句見逃せないので、集中して見てました。外国の作品の字幕を見るように。言葉の奥にある意図がわかると感動もひとしおでした。
日本語の「言葉」一つ一つの表現にこだわっていたのがわかります。

こだわった演出
まず映像が美しい。映画の様です。冒頭からラストまで丁寧に作られており、例えば5話の電話の会話を両方同時に撮影や、料理のシーンを複数の画角で撮影し、一つは壁側からもと、手間を惜しまず良い作品を作りたいという製作陣の情熱が伝わり、こだわりシーンを探すのが毎回楽しみでもありました。

曲との親和性が高い
ヒゲダン好きな方、スピッツが好きな方は、曲や歌詞の世界観も楽しめます。
今年、両方のライブ、フェスに行く位大好きなバンドなんですが「subtitle」はドラマの当て書きらしく主人公達の心情に寄り添った内容で、また毎回ラストのいい〜所で流れるんですよね。曲が流れる頃は、ほぼ毎回泣きながら見てました。
高校生時代の「魔法のコトバ」と、渋谷タワレコで紬が聴く「楓」が流れるシーンも印象的でした。「楓」切ない〜。

登場人物各人の魅力も作品に華を添えてました。特に湊斗、奈々は大好きです。
SNSでの熱狂ぶりも納得でしたね。
私も話題のシーンを何回も繰り返し見ては、この作品の凄さを実感しつつ、毎週木曜日を心待ちにしてました。
最近の日本のドラマは軽薄短小なものが多いと思ってましたが、日本の作品でこんなに味わいながら楽しめたのは久しぶりでした。作品の持つ魅力も大事ですし、それを丁寧に表現してこそ、感動を呼ぶのだと思います。


おまけネタバレ 見終わった人だけ見てね

ラストの教室、イルミネーションのシーン、想はなんて言ったの?と詮索するのは野暮ですよ〜。
「魔法のコトバ」が聴こえてきませんか。
〜二人だけにはわかる〜❤️です。
そして「silent」とここで表示されてラストカット。なんとかっこいい演出!
更に、最後の教室が、古賀先生の視点から二人を見ているってのがまたニクイ演出で、ホント最後まで素敵な作品でした。

おまけのおまけ 言葉を伝えることを大切にしてきた二人だから、最終回は想の作文についてきっと何かあると思っていたら、予想以上の素敵なシーンが待っていました。他にもかすみ草と雪と「subtitle」の歌詞、おすそ分けと繋がり、私も幸せをおすそ分けしてもらった気持ちでした。
長文ごめんなちゃーい。
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