回想シーンでご飯3杯いける

ザ・プレイリストの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ザ・プレイリスト(2022年製作のドラマ)
4.5
音楽系サブスクリプションの最大手Spotifyの躍進と功罪を描いたドラマ。自分が長年、音楽やレコードの業界に携わってきた経緯もあって、思いっきりのめり込んで観てしまった。感想を書きだすと長くなりそうなので、良かった点を箇条書きでまとめる。

・Spotify発祥の地であるスウェーデンで制作
→ハリウッドでサクセスストーリーとして描くのではなく、スウェーデンで問題となった違法ダウンロードサイトの話から、合法音楽サービスとしてSpotifyが生まれた経緯を、当地の視点で描いている。無名俳優と低予算(と思われる)だからこその、メッセージ性を前面に打ち出したディレクションは、攻めまくってて最高。音楽はもちろん北欧中心。

・エピソード毎に主人公が変わる群像劇スタイル
→創業者、レコード会社の社長、弁護士、プログラマー、、、と言ったように、Spotifyの躍進に関わった人物が各話の主人公となり、同じ時系列を6回繰り返す構成になっている。内田けんじの「運命じゃない人」っぽいスタイル。各人の魅力と思惑が交錯するスリリングな構成が素晴らしい。

・会議室ロビーは音楽業界の縮図
→何度も登場するロビーは、低予算故のロケ地費用節約の側面もあったのだろうが、同時に、業界の構図を分かりやすく描写する事に一役買っている。縦から撮ったり、横から撮ったり、同じ場所なのに、登場人物によって見え方が変わる。他にも秀逸な比喩表現が多数。

古い物を大事にするお国柄の日本では、今もレコードやCDが人気だけど、世界的に見れば本作で描かれているようにCDは時代遅れとされ、音楽の楽しみ方はどんどん変化している。大きな変化の為に業界の体質や利益の配分等、残された課題も多く、本作ではそれら多様な側面をほぼ全てに渡って描いている。音楽が好きな人なら是非見て欲しい、Netflixオリジナルの超重要作だ。