ノラネコの呑んで観るシネマ

仮面ライダーBLACK SUNのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

仮面ライダーBLACK SUN(2022年製作のドラマ)
3.1
全話完走。
結論から言うと、まあまあ楽しんだが、世界観構築が雑過ぎて勿体無い。
作品の方向性が「仮面ライダーBLACK」のリメイクというよりも、完全に政治風刺劇の方向に行っちゃって、悪徳政治家との癒着を巡る過激派セクトのちっちゃな内ゲバの話になっちゃってる。
しかも風刺としても底が浅くて、731部隊から日本赤軍、安倍政治に至る各時代の要素を切り貼りしたにとどまり、導き出される結論も今ひとつチグハグ。
「麻雀放浪記2020」でも思ったが、白石和彌は架空の世界を作り出す難しさを理解してない。
何より不味いのは、怪人の起源の改変だろう。
本作の設定だと、怪人が誕生してたった三世代で、国内だけで20万人まで増えるほどの生殖能力を持っている。
この時点で創世王の存在価値は人間側にしか無く、最終回である人物を創世王にする意味が全く無い。
そもそもキングストーンが創世王を生むとか、どうやって分かったのよ。
他にも、なんで主役の二人だけ二段階変身出来るの?とか、葵含めた三人にだけにベルトが出てくるのは何で?とか、自然生殖した怪人に石はないの?とか、雑な世界観設定のせいで無数の突っ込みどころが。
楽しんだと言いつつ、酷評みたいになってしまった。
やっぱこの手の作品のリブートは、庵野秀明みたいな真性オタクに任せた方が、いい結果になるんじゃないかな。
まあ「デビルマン」ルックのB級フォロワーとしてはそこそこ見所はあるが、初代「仮面ライダー」世代としては納得は出来ない。
確実に言えるのは、作り手がこのジャンルに向いてないってことかな。