ねまる

FARGO/ファーゴ:カンザスシティのねまるのレビュー・感想・評価

4.1
1カット1カット天才的に好き。
カメラの回し方、収まる構図。
このドラマは最初の映画『ファーゴ』コーエン兄弟が制作総指揮を務めるドラマ。
どのシーズンも違う時代、違う地域、違うキャラを描いているのに、コーエン兄弟『ファーゴ』と同じエッセンスを持っている。
ショーランナーのノア・ホーリーのセンスが光りまくった、大好きなシリーズ。

このシーズンのテーマはまさにアメリカ。
多くのメインキャラで描くアメリカの姿。

切り取った場面のアート性は、
他シーズンを更新したんじゃないか。
横や縦に画面にラインが入り、映像が切り替わるカットも洒落てる。

「誰にでも居場所はある、あとは見つけるだけだ」
映像だけでなく、こういった台詞回しも天才的にすき。


ここからは、観ながら書いてたメモ。
ちゃんとした文章じゃないけど記録用ということで。
ネタバレ含みます。


ジェシー・バックリーが今シリーズの悪魔かな。
ジェシー・バックリーの演技が素晴らしいので、それだけで楽しい。
今シーズン、登場人物が多く、メインとなるキャラを判別しづらい。
当たり前だが、世の中だってそうだ。誰の人生だって、自分が主人公。いつある物語に登場して、いつ退場するのか分からない。

ウィックウェア=デフィさんかっこいいな。
この人は信用出来る気がする。
生死は分からないが、誰が悪魔で、誰がダメかはなんとなく分かる。
8割ダメな人で、2割まともか運がいい、その中に一人悪魔がいる。
悪魔に出会ったら、たとえ登場人部になってしまっても脇役でありたいものです。
悪魔でなくとも、ダメな人の選択は最悪な結果をもたらすことがある。なんとか、なんとか悪い方に転がらないようにする選択が。
皮肉なこと。

ベン・ウィショーだけが好きで観るには少し出番が物足りないが、立ち位置的にはかなり面白い役。
「手札で勝負しろ。」というポーカーの諺。
その通りだ。今持っている手札でなんとか生きるために勝負しないといけない。
白黒で語られる回がメインの回であり、これをやり遂げるのは実力派なのだろう。
可愛いサッチェルとのコンビが健気で良かった。
オズの魔法使い、の竜巻だとおもう。
サッチェルはシーズン2と関連してる、、、とか。

あとコンビといえば、
刑務所からの脱獄女二人組。
今の生活を守るために必死になるイタリアマフィア、黒人マフィアたちの一方で、そういう柵から解放された自由な二人が愛おしかった。
二人にしか見えない幽霊は何を意味するのか?
エセルリダという賢い少女に全ては託されていく。

ジャック・ヒューストン演じる刑事オーディス。
今までのファーゴシリーズ、刑事は割と信じてんだけど、ぜんっぜん信用できないこの人!!
信用できない感じが上手でしたね。
ジョストも可笑しかった。
イタリア系は寡黙にやらかすカラミータも好き。

メインとなるキャノン、ガエターノほかが、キャラなのか、お芝居プランなのか、どうもやりすぎで、苦手でマフィア抗争にいまいち入り込めなかったのもあるが、
後半はジェシー・バックリーのキャラ作りの派手さと、ティモシー・オリファントのえげつない格好良さしかもはや目に入らなかった。
8話がベストで9話も良い。
ちょっとね、尻すぼみ感があったかな。

デフィーさんがカッコいいと初見で思ったが、もはや概念だった。かっこいいという概念。
ティモシー・オリファントの存在の全てがカッコよかった。
Deafyという愛称。
それを「自分の聞きたいことしか聞こえない」
って自ら説明するがまた格好良いのよ。
この人の格好さって、周りがどんな状況だろうと自分貫ける、芯がしっかりあるところで、
モルモン教徒で、思想には同意出来ないところがあっても、信じられる強さとユーモアを持った人。
Deafyって周りから差別されてつけられたあだ名のような気がするんだよね。people call me Deafyと言っているので。信仰する宗教によってさ。
それでも、自らモルモンを名乗り、信念があるから、このキャラの発する台詞に重みがある。
ティモシー・オリファントが本当に素晴らしい。

やっぱりデフィーさんの台詞になっちゃうけど、
すんごい刺さった台詞。
"人間らしく生きて死ね"
"you want to be die like a man, you got to live like a man"
簡潔なまでにシンプルで素敵なセリフ。
死ぬときは死ぬ。
その日まで人間らしく生きていたいね。
ねまる

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