どらどら

透明なゆりかごのどらどらのレビュー・感想・評価

透明なゆりかご(2018年製作のドラマ)
5.0
産婦人科の温かいところは温かいままに、厳しく残酷なところは厳しく残酷なままに

このドラマには奇跡は起こらない
スーパードクターもスーパーナースも出てこない
みんな悩み、傷つきながら、それでも懸命に命に向き合う
正解なんてないけれど、自分のやっていることが正解だと信じて

女性差別、妊娠と仕事、性虐待、産科危機、そして中絶。
妊娠は、綺麗事じゃないんだ。
生まれてくる命は、生まれてこられなかった命も、全部平等に愛おしい。
アオイの眼差しに貫かれ、涙が溢れ出てくる。

とても誠実な話の作り込みに、毎回涙が止まらなかった

清原果耶さん、水川あさみさん、原田美枝子さん、瀬戸康史さん、酒井若菜さんらレギュラーキャスト陣が最強すぎて、毎回愛しさとかもどかしさとか言葉にならない感情が積み上がっていって、みんなの人生が正解だしきっと全部に意味があったんだよって言ってあげたくなった。

ゲスト陣も最強
第一話: 安藤玉恵さん
どうしたらよかったんだろう。でも、愛に包まれていたと信じて。

第二話: 蒔田彩珠さん、平岩紙さん
蒔田さん、”朝が来る”と重なる
“善人ぶってんじゃねえよ”
悔しさが、溢れ出す。見えない、男の姿。
1型糖尿病と妊娠。正解はなくても、仮にエゴでも、正解を見つける。

第三話: 田畑智子さん
誰も悪くない。だからこそ、耐えられない。この怒りを、この悔しさを、どこにぶつけたらいいのか。多分正解はない。

第四話:マイコさん、葉山奨之さん
お産は綺麗事じゃない。うまくいくことも、うまくいかないこともある。誰も悪くない。でも遺された家族は?彼の怒りと無念に、医療はどう向き合えるのだろうか。

第五話:清水くるみさん、花田優里音さん
バカだったのかもしれない。でも悪いのって、誰だろう。社会は彼女に、どういう目を向けてきて、そして今向けているのだろうか。少年の言葉が、救いだ。

第六話:モトーラ世理奈さん、イッセー尾形さん
“同じこと、男にも言えよ”
多分これについても正解はない。でも、彼女にとってあの場所が救いで、あの態度が、あの優しさが救いだったなら、それ以上はないのかもしれない。
“赤ちゃんも、バカだよ”
“いつか望んだ時に”
たとえわがままだと言われても。そう願わずにはいられない。

第七話:片山友希さん
母子手帳が繋いだ思い。虐待と、親。明かされるアオイの真実。みんなもがいて苦しんで。親だから。親になる。
“たった一瞬でも、世界中の誰よりも愛されたと言えるのならば、私たちは生きていけるのかもしれない”

第八話:柄本時生さん
妊娠と出産と育児と、キャリア。綺麗事の介在する余地はない。母になる。父になる。
諦めること、諦めないこと。正解はなくても、ふたりで、みんなで、悩んで向き合う。
“かわいそうでもいいんだよ”

第九話:根本真陽さん
性虐待。許せない。彼女の負った傷が、これからも向き合い続けなければいけない傷が、あまりに無自覚に、そして許せない形で、行われていたという真実。わからなくても、分かろうとする。あきらめない。

第十話:鈴木杏さん
正解はない。産むか、産まないか。積極的治療をするか、しないか。みんなでもがいて苦しんで、それが正解だと信じて。涙が止まらない。
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