産婦人科のバイト、アオちゃんを通して描かれる命のドラマ。
男の俺は、産婦人科ってどういったお仕事をしてるか分からなかったですが、赤ちゃんを産むための場所っていうだけじゃなく、様々なことがあるんだということを知れた。
毎話観終わる度に思っていましたが、高校生以上の男は全員観た方が良いと思う。
ドラマで描かれていることはごく一部だと思いますが、女性が抱える不安を知ることができます。
冒頭の日本の死亡率第1位の衝撃的な事実が胸に刺さる。
あの小さなフィルムケースのような入れ物に入れられて、一体どこに運ばれているんだろう。
昨日も今日も明日も、どこかで起きている日常。
つらく悲しく、誰かが傷ついている。
正常な分娩をしても血が止まらず、母親が死んでしまうケース。
正規の産婦人科では中絶手術を受けるお金もなく、非正規のところに助けを求める女性。
それに対し、叱責することなく受け入れる老夫婦。その理由も淡々と僕らに訴えかけてきます。
小学生、中学生への性暴力についても触れています。いたたまれないし、許せない気持ちが込み上げてきます。
最終話は心臓に疾患を持っていることがお腹の中にいる時にわかります。
産むか産まないか。
誕生する意味はあるのか。
様々な葛藤が描かれます。
数日で死ぬことが分かっていて生まれてきて、小さくて仕方がない命を看取らなければならない。
こんなに悲しいことはないよ。
僕らの子どもも先天性の心疾患を患っていました。
産む直前になって分かったんですよね。
普通に検診に行って、経過も順調だったのに、わからないものはわからない。
妻から電話をもらって、聞いた時は単純に「なんで?」って思った。
生まれてすぐ手術をしなきゃいけない。
すぐ死んでしまうかもしれない。
生まれてすぐ死ぬかもしれないなんて、何のためにこの子は生まれてくるんだろう?
意味がわからなくて、そう思ったら悲しすぎて自然に泣いていた。
だから何かしらの疾患を持って生まれてきて、育てていく大変さ、そこはすごく分かります。
最終話の鈴木杏さんの葛藤の演技は見事としか言いようがありません。
僕らは意識しなければ生きていることに感謝はしない。それが当たり前すぎて。
だけど、生きていることは当たり前じゃないし、誕生も当たり前じゃない。
産科は出産でも中絶でも、それは新しい命を受け入れるための準備だ
というセリフが劇中にあり、本当にそうだなって思った。
何よりもかけがえのない命。
そしてそれを育む母体という神秘。
その一端に触れることができる本作は、後世に受け継がれるべき傑作です。
ぜひ多くの方に観て欲しいです。