ねまる

聖者の行進のねまるのレビュー・感想・評価

聖者の行進(1998年製作のドラマ)
4.5
ずっとずっと気になっていた名作ドラマ。

障害のある子供たちを主人公に、人間ドラマを描こうという野島伸司に脱帽。

人間の黒さ、残酷さ、不平等さ。
知能が少し遅れている障害者たちの目線で見る世の中の冷たさが、刻々と伝わってくる作品。
一方で、知能が遅れているゆえにある温かさや純粋さも感じられる作品なのが素敵。

健常者である役者が、障害者の役を演じていることは、キャストの演技力の高さで問題はなかったんだけど、
前半はやっぱりどこかに違和感があった。

多分どこかで、見下している自分がいたんだと思う。彼らに対して。

回を重ねていくにつれて、観続けていくにつれて、その違和感はなくなって、ありすと廉を架け橋にして、感情移入がスムーズに出来るようになっていった。

7話星になったありすを観て、
涙どころじゃなく洟まで止まらない。
虐待を受けて夜中ずっと正座をさせられている時に聞こえてきたリコーダーの音色、
暴力が嫌なら犬のように靴を舐めろと言われ、犬じゃないでしょ、人間でしょって言う永遠、
知的障害者のフリをしていた兄が、工場のみんなを勇気付けるため口にする「プライド」
こんな底の底の暮らしでも、手に手を取り合っていこうとする光への力。

いかりや長介演じる弁護士さんの台詞
「弱くてもいいんです。人は強くなると痛みを感じなくなる。
弱い者たちが手に手を取る社会こそが素晴らしい」
一つのテーマはこれだったと思う。

一方で、後半鮮烈になってくるのは、
生きる意味を問うこと。
知的障害者は健常者と同じようには社会の歯車になれないところがある。
どこかで、生まれてくる意味のない存在なんだという認識が本人たちの側にも存在しているんだと思う。
知的障害者のためじゃない、生まれてきた意味がないと思っている全ての弱き者への物語。

この2つのテーマは主題歌に現れていて、
一つ目のテーマは「糸」
二つ目のテーマは「命の別名」
中島みゆきの2つの楽曲が、このドラマに内在するメッセージを強調させる。

そして迎えるラスト。
「ぼくらの未来は光にみちているか」

私は未だ高原廉を救う方法を見つけられないし、たぶんこれからも考え続けるんだと思う。

再放送は絶対にないドラマだし、
配信すらされる気配もないけれど、
もっと多くの人が観るといい。