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高慢と偏見のtaruponのレビュー・感想・評価

高慢と偏見(1995年製作のドラマ)
4.5
DVDも持っていて、何度も見返している作品だが、アマプラに入っているなぁと目について、久しぶりに見返した。

はぁ〜、やっぱり好き!何といっても面白い。
ドラマ版で、尺もとれるから、変なはしょり方をすることなく、原作の世界観がきっちり描けている。アクの強い沢山の登場人物達をしっかり立たせて描いている群像劇としての面白さ。

ジェーン・オースティンの面白さって、恋愛劇そのものというより、そこに描かれる人間の面白さだと思う。
5人5様の姉妹のキャラ、美人で基本性善説な長女のジェーン、頭の回転が速くちょっと斜めから見る視点を持つリジー、享楽的な末娘のリディアだけでなく、かたくなで人を受け入れず受け入れられない3女のメアリー、日和見的な4女キティ、それに加えリジーの親友でコリンズと結婚する超現実主義のシャーロット。若手の女性だけざっとみてもこのバリエーション、それぞれに組み合わさる男性のキャラもそのマッチング的に絶妙。

舞台は、19世紀初頭のイギリスの話なので、財産や相続に関する慣習、結婚に対する考え方(結婚は好き嫌いといった問題ではなく、生活を維持、財産を継承していくための手段)、身分に対する考え方等、現在の社会状況とは大きく違うことは大前提の上で、それでも「いるいるこういう人!」「この気持ちわかるわかる」というところが散りばめられているところが、人間を描くオースティンのすごいところだし、その本質的な部分をきちんと映像化できた面白みだと思う。

リジーの結婚は、当時としては考えられないくらいの超玉の輿。
これを、自分の感情を偽ることなく、本人にも文句を言いたい部分はきちんと伝え(最初の求婚場面)とか、レディ・キャサリン・デュ・バーグにも立ちむかうところが、当時的にはかなり先進的で身分にとらわれることのない(かといって、わきまえが無いわけではない)女性像として受け取られたであろうし、今であってもきちんと自分の気持ちを伝えられることへの共感が感じられる。
そして、リジーにしろダーシーにしろ、理想像の完璧な人ではなく、結構下世話なところやわがままもあり、高慢な態度を知らず知らずとっていたり、思い込みで周りを振り回したり、相手をせめたりするという愚を犯しながら、それに気づき反省し、お互い歩み寄る姿がよい。

伝説のコリン・ファースダーシーですが、コリン・ファース自体に対しては普通っておもっているけれど、このダーシーは限りなくステキ。
そして、ペンバリーの舞台として使われたライム・パークのお庭の美しさは一度行ってみたい気持ちを再燃させる。
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