Relishi

魔王のRelishiのネタバレレビュー・内容・結末

魔王(2007年製作のドラマ)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

DVDも所持しているほど好きな作品。
観直し4回目になるけれど、いつも新鮮な気持ちで観ることができる。
何故なら非常に複雑なストーリー構成で、記憶しておくには登場人物やエピソードの要素が多いのだ。
なので集中して観ないと置いていかれる。

12年前の事件の復讐を、自ら手を下すのではなく、他者の弱い部分、その人の願望を引き出す形で行っていく、そしてそれを弁護し救う、という知的で完成度の高いドラマ。
タロットカードという象徴的なアイテム、ダンテの神曲、オイディプス王、これらのモチーフが事件と物語の展開に大きく関連し、登場するすべての人が悲しい。

役者陣の演技がとりわけ素晴らしいのだが、特筆すべきはオ・スンハを演じるチュ・ジフン。
被害者家族の悲しみと憎しみ、天涯孤独に生きてきた孤高な立ち居振る舞い、信心深く、弱い者に優しく、もう後戻りはできないほどに復讐心、そして罪悪感に追い詰められていく姿が、涙なしでは観られない。

復讐相手のカン・オス刑事、彼もまた生きる地獄を味わってきた悲しい人間、そのことに気付いて行き、いつの間にか許し、むしろ哀れに思っていくにも関わらず、復讐を止めることができないその悲しさ。

後半から毎話毎話号泣。12年前の事件の真実は視聴者だけにしか知られない。そして、すべての始まりと終わりが完璧に循環し、ゼロに還る。素晴らしいラストシーン。何度観ても最後は涙でもみくちゃで、嗚咽あげて、終わったあともずーっと泣いているのだけど、どうか天国というものが存在してほしいと願う。
地獄の門がテーマとなっていたこともあり、彼らが天国でどうか救われてほしい、と願ってやまない。

これからも何度も観るだろう。
Relishi

Relishi