mimitakoyaki

よくおごってくれる綺麗なお姉さんのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.2
コーヒーチェーンの本社で働く35歳のOLジナは、3年ぶりにアメリカから帰国した幼馴染みで親友の弟のジュニと再会。
姉弟のように接していたのに、いつの間にかお互いが気になるようになって恋愛に発展しますが、それぞれの家族から交際に猛反対され…という話です。
しかしこれが、家族の理解を得られない年の差カップルのラブストーリーでありながら、ジェンダー視点がすごく盛り込まれている点が、今の時代を捉えた社会派ドラマとなってて、意識の高さを感じさせました。

愛の不時着では財閥令嬢を演じたソンイェジンが、今作では35歳独身で実家暮らしのOLを演じています。
35歳独身というと、「適齢期」を過ぎた行き遅れとか、中年女性と言われます。
「女の価値は若さと美しさ」というのは、日本でもめちゃくちゃ強いと思いますが、韓国でも同様のようです。

職場では、男性上司からのセクハラやパワハラにうんざりして苦痛なのに、波風立てたくないからやり過ごす日々。
弁護士の彼が若い女性と浮気してることを知り、別れを切り出すとストーカーのように執着してきたりと、いろんな事が起きますが、ジナはあまりきっぱりした態度が取れず、事態が拗れていきます。

そんな彼女が、ジュニに愛され本当に大切にされていく中で、失っていた自己肯定感や自信が回復して、自分をもっと大切にしようと思えるようになっていき、これまで周りに流されたり我慢してやり過ごしてきた事に、少しずつ向き合えるようになっていくのが素敵なんです。

それにしても、韓国におけるセクハラの問題、女性差別、家制度、年の差や格差婚、学歴社会、若者の独立の難しさなどなど、日本も大概ですけど韓国もこれじゃ若い人は生きづらいだろうなと思います。

他の韓国ドラマ見てても、親が子どもの恋愛や進路など人生にめちゃくちゃ干渉してくるのがよく描かれているのですが、結婚相手は愛してるかどうかよりも、相手の学歴や職業、肩書、家柄が重視されて、ジナの母親がジュニは家柄が良くないからと常軌を逸したレベルで猛反対しています。
子どもにも人格があり、自分の人生を決める権利があるのに、それをすべて否定して、「あなたの幸せのため」と言いながら親の思い通りに子どもの人生をコントロールしようとするなんて、そんなの愛でもなんでもないし、もはや毒親だから距離を置くべきと思いました。
わたしなら最高のジュニとアメリカ行くのにーー!ってもどかしかったです。

けど、あそこでジナがとった選択だって理解できます。
その選択は、きっとジナが初めて自分で覚悟して引き受けて自分の人生を決めたという事だったんだと思います。
自分が闘ってきた事が必ずしも実を結ばず、会社で理不尽な思いをして、失ったものもたくさんあるけど、苦しい事にも向き合い、耐えて頑張ってやり切った清々しさみたいなものを感じたので、あの選択はあれでジナの人生でプラスになってるのだろうと思いました。

後半は、とにかく母親の毒っぷりがほんとに見ててしんどかったし、あんなに愛と優しさに溢れたジュニが家柄や学歴で差別されて否定されてるのが見てられない辛さがありました。

それに、ジナ、なんでそこで嘘つくんや?なんでそこでそれしたんや?とかいう場面がいくつもあったり、ジュニ、それジナにちゃんと相談してから決めようよ、とかモヤモヤ展開もあるのですが、前半が2人の好きが溢れてて、見てる方も幸せな気持ちになれるし、2人のイチャイチャが可愛すぎてずっと見てられます。

ジナがジュニの友達との集まりに誘われた時、みんな若いのにわたしだけがだいぶ年上だから…って渋るシーンがあって、ジュニはジナは最高に綺麗だし素敵だから大丈夫だと言ってくれ、ジナを気遣ってくれたり大切にしてくれたり、あそこは泣けるくらい素敵でした。

もう若くないってだけで女としての価値を否定される風潮の中、あなたは素敵だ、魅力的だと丸ごと肯定してくれるって、どれだけ女性に自信を与えてくれるか。
あと、コソコソと夜中に足音立てないように帰ってきたり抜け出したりするのとか、身に覚えありすぎて共感!笑

愛の不時着では、すぐに手を出さないリジョンヒョクに誠実さを感じたものですが、まあでもファンタジーよな!って思うところですが、この作品ではキスしたり抱き合ったり、こんなにいっぱいするドラマある?って思うくらいなんですけど、それがすごくリアルだったし、30代の普通の男女(外見は人並外れて恵まれてはいるが)が描かれていてすごく良かったです。

ジナのお母さんは最後までずっと嫌でたまらなかったけど、そこまで交際相手の学歴や職業、家柄にこだわるのは、韓国で勝ち組と負け組がはっきりしてて、人生でその選択を誤れば、経済的にも社会的にも苦労するというのが社会の中であるのかもしれません。

ジナが一人暮らしを始めようと物件を探した時も、ソウルで女性の賃金で綺麗で安心で安全な家を探すのは至難の技で、すごい古い家や半地下とかそんなのしかないっていうのも描かれていて、そういった厳しい社会というのが見えるように描かれているのがとても良かったです。

前半の胸キュン幸せいっぱい、チョンヘインの最高に可愛い笑顔がいっぱい見れるとこは何度でも見たくなります。
映画デートで「フランシス・ハ」を選んでる時点でもうこの2人最高!

ソンイェジンも、愛の不時着のユンセリのような特別な人ではなく、今回普通の35歳を演じてて、めちゃくちゃ可愛かったし、もうチョンヘインがヤバイんですよ!
なんなんこんな人世の中におる?ってくらいキュート過ぎて、チョンヘインに「ヌナ」なんて慕われたら毛穴という毛穴から大量出血して憤死すると思いますね。
2人がほんとに素敵でした。

映像も音楽も大人っぽくしっとりしてて、とても美しく大好きです。

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