HidekiIshimoto

東京裁判のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

東京裁判(2016年製作のドラマ)
4.5
東京裁判の歴史的意味を判事側の、内側からの視点で克明に描いていて、食い入るように観てしまった。扱う犯罪の規模は違えど、判事それぞれの立場と背景でぶつかり合い許容していく様は傑作映画『12人の怒れる男たち』とそっくりだった。けどこちらは世界最高レベルの知識と知性の紳士たち。礼節の下で同じ正義を目指す上でつばぜり合いはよりスリリング。なんといってもこちらは事実そのもの。何度か目にしたことのある白黒の実際の法廷映像は見事なカラー処理をされ再現ドラマと融合させてあり、東條英機らいわゆる“歴史上の人たち”が強烈な実在感で登場するのに思わず息を呑む。“人は戦争を裁けるのか?”というテーゼは、後半に至り侵略行為をしたことのない国家などないということを浮かび上がらせ、“人を裁ける権利と資格のある人間は本当にいるのか?”くらいまで広がっていき、最後はもう何だか訳の分からない涙が出てきた。