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ツイン・ピークス シーズン1のKinaponzのレビュー・感想・評価

ツイン・ピークス シーズン1(1990年製作のドラマ)
4.0

本作が日本の地上波で初めて放映された
92年以来
実に29年ぶりの再鑑賞です。

当時はドラマの背景や制作事情などは知るよしもなく
単純に謎解きミステリードラマを楽しむくらいの
軽い気持ちで見始めた記憶があります。

しかるに、ドラマが進行するに従って雲ゆきが徐々に妖しくなり、
終盤では煙に巻かれて自身の理解の範疇を越えた
混迷裡に置きざりにされぼう然するしかないと云う、

あの瞬間が謂わばリンチ・ワールドの洗礼を受けた瞬間だったのかもしれません。


リミテッド・イベント・シリーズ
(本作品の25年後を描いた続編)が2017年に放映された際は

本作を観返して臨む気力がなく

十分にたのしめなかった憾みがあるので、

今回改めて『ツイン・ピークス』と四つに組んでみようと
なぜか思ってしまった次第です。



現在シーズン1として括られている

パイロット版 (序章) を含む全8話迄
観終わりました。

この作品で、D・リンチやカイル・マクラクランの名前を
覚えることになった訳ですが、

改めて観直してみるとリンチ作品にしては、
わりと尋常なミステリー仕立てになっています。

(リミテッド・イベント・シリーズを含めると
まだ全体の1/6に過ぎませんので
リンチ・ワールドが展開され全開していくのは
これからです。 )


カナダ国境にほど近い
人口5万余りのツイン・ピークスと云う架空の街が舞台で

1989年2月24日早朝
高校生のローラ・パーマーの死体が発見されるところから
物語は始まります。

その事件を巡って、ツイン・ピークスに蠢いていた
種々の暗部が抉り出され、炙り出されていくと云うのが

ベーシックな筋書きです。


パイロット版だけでも
登場する人物は30人を下らず
名前を把握するのにひと苦労ですが

各々の人物が特徴的に実に巧みに描きわけられていて

必ずや肩入れしたくなる人物が見つかること請け合いです。

(かくいう筆者は、
ルーシー、ホーク、オードリーが登場すると
画面を見つめる眼に力が入ります。)


陰惨な事件や渦巻く悪意が多いなかで
保安官事務所のコミカルな面々に救われ

また本作の主人公であるFBIのクーパー捜査官 (カイル•マクラクラン) のとぼけた一面も

辟易しかねない闇を忘れさせる

ドーナツとコーヒーの役割を上手く果たして
光闇のバランスがとれています。


そして何よりも、
アンジェロ・バダラメンティのテーマ音楽あっての
ツイン・ピークスであることは云うを俟ちません。

彼の音楽でなければ、ここまで熱狂的に
本作が支持されることはなかったのではないでしょうか。

それほどまでに、バダラメンティのテーマ曲は
ツイン・ピークスの世界観を十全に表して余りあります。