macachineke

わたしを離さないでのmacachinekeのレビュー・感想・評価

わたしを離さないで(2016年製作のドラマ)
4.7
2010年にカズオ・イシグロのnever let me go を読み、衝撃を受けた。そして同じ年か翌年にイギリス映画"Never let me go "邦題わたしを離さないでを観てまたもや衝撃を受けた。どちらかというと淡々とした語り口調の原作だったので、キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイという役者たちの演技と原作を読んだときと同じような光の描写の美しさ。これがイギリスだな、と思える情景がこの悲しく切なく心を掻きむしられるような作品を際立たせてくれた。

この作品が日本でドラマ化されると聞いて、いや、無理だよね、やめてくれ、と最初に思った。
いかに私が愛してやまない三浦春馬がキャスティングされていようとも、あの世界観が日本では壊れてしまうと思ったから。
オンタイムで最初の三話ほどみて、止めてしまった。世界観は意外にぶち壊されることもなく、うまいこと迎合していた。しかし、暗く重い感じが日本独自で耐えられなかった。
今回、春馬の作品はキチンと全部見直そうと決め、昨日から全10 話を一気に観ました。これはすごい秀作ではないですか。三浦春馬、すごいです。
ファンの贔屓目もあると思いますが、アンドリュー・ガーフィールド感が半端無しでかなり寄ってました。またもう本人がいないとなるとますますセリフが心に突き刺さる。綾瀬はるかと水川あさみも素晴らしいが、やはり本家の二人と比べると見劣りしてしまいます。しかしながら、映画と比べ全10 話もあり、オリジナルキャストもあったりして、日本ぽいお話に変えてるところもあり、それはそれでわかりやすくなってます。イシグロの世界観とどちらかが近いのかはわかりませんが。
とにかく映画よりワンシーンというか一つのエピソード長いので、水川あさみ演じる美和(映画だとキーラ・ナイトレイ)の嫌な女ぶり(前半)が長くてもうイライラして仕方ない。
エンディングも映画とは違います。ここも日本的なのかな。
暗くて重いテーマですが、生きること、生かされること、死について考えるきっかけになるべく作品です。春馬、ほんとに上手かった。
.
macachineke

macachineke