そのじつ

プラトニックのそのじつのネタバレレビュー・内容・結末

プラトニック(2014年製作のドラマ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

生まれつき心臓が弱い娘に寄り添う母サラ(中山美穂)は、偶然知り合った人物から心臓を娘に提供するという申し出をうける。
訝しみつつその青年(堂本剛)と会い、心臓移植のための準備に入る中で、多くを語らない彼を少しずつ知って行く。

…という話だけど、脚本の野島伸司が主演ふたりを指定したとのことで、つまり「当て書き」したんじゃないか?と思うくらいハマっている。
1話を見る前に結末を知っているもんだから、見ていて感極まってしまう…ヤバイ。
野島伸司、いつもつよしを殺す憎い脚本家だが、つよしのイノセントさを引き出す脚本を書いてファンの息の根をも止める。罪深い恋に突き落とす悪魔だ〜(^^:
他の方も書いているが、ホントこのつよし、色気にあふれてる。
流行りのビジュアルじゃないけど、こんな表情されたら魂もってかれる。

#2
臓器移植に関する法の抜け道として、結婚することにしたサラと青年。青年の申し出をあやしんでいた人々も、青年が不治の病であることを知ってその申し出を受け入れ協力をするようになる。
なかでもサラの元夫(吉田栄作)が青年に急接近。青年は元夫に同情し、こじれた感情を修復できればと、夫の気持ちをサラに伝えるのだが・・

いや〜野島伸司さすが!#1ではサラは頼りなげでスキのある女に見えたのだが。#2のラストで見せるミステリアスな横顔!母親ってなんなのか?子供に全てを捧げているように見える、それは母性愛だけなのか?母という生き物のエゴイズムにもせまるエグミがすごい。この後の展開ががぜん面白くなってしまう。

結末は納得がいくようないかないような。それほど青年の人生の絶望が深かったのか?「あなただったのか」と涙しながら言った#5は名シーンだった。逆に中山美穂の顔にはそれほどの高ぶりは浮かんでいない。さすが妖精の女王?!この2人は長続きしない前提条件で出会ってしまった悲劇性が美しい。
それだけに、その後の状況が変わってからの流れは辛い。そもそも現実ばなれした話だったのが、急転直下のラストで更にギリシャ悲劇みたいになって驚く。

そうか、彼が絶望していたのは死ぬ事そのものではなく、死ぬ運命の自分に寄り添ってくれる人がいなかったから。ホームレスのおじさん以外には。
天真爛漫な双子の弟は生きづらさの原因でもある。

だから死の運命ごと自分を選び包んでくれた人々が、自分にとって最良の場所。もはやそれを失っては生きている意味が無いくらい。

自殺してでもしがみ付いたのか、と呆れる気持ちもあるが、それを受け入れて欲しいという彼の自己愛でもあったのかと思うと、切ない。

自己犠牲と自己愛をイコールで結びつけてしまうなんて、やはり野島伸司は凄い。天使のような形で青年を逝かせなかった。
愛は利他的…プラトニック、けれど究極に利己的なものでもある。それを見せて終わらせるなんて。

吉田栄作、熱演でよかった。永野芽郁がまた・・泣かせる〜#3の彼女の恋のくだりと母のとった行動との葛藤。理不尽さが辛い。#6の青年と魔法使いの話をするシーンもいい。
前半の醒めた表情や態度の剛も、後半の幸せそうな剛もよかった。中山美穂は少女性を秘めた大人の女にハマり役で、男たちみんなが彼女に恋してしまう「妖精」として君臨する様も納得。