こたつむり

警部補 矢部謙三2のこたつむりのレビュー・感想・評価

警部補 矢部謙三2(2013年製作のドラマ)
4.0
★ 日々増加する凶悪犯罪
  日本の平和を守る警視庁で最も優秀な刑事
  それが、矢部謙三である!2(ヅラ)!

人気ドラマ『TRICK』スピンオフの続編。
というか、スピンオフと呼ぶには相応しくない確固たる世界観を築いている作品です。

そんな本作がオリジナルとして選んだ道。
それは定番とも言えるフォーマットの確立。

そう。実のところ、矢部謙三って物語を推進するには弱いんですね。基本的には「長いものには巻かれろ」で「保身と出世とサボることにしか興味がない」ので“巻き込まれ形”にしないとダメなのです。

そこで、本作の推理役は警視総監の娘に設定。
彼女が事件に関わりたいがために、父親の弱みを矢部謙三に伝え、それを基に警視総監を脅す…そして、彼は矢部謙三を排除するために事件に投入して殉職を狙う…というパターンを作ったのです。

もうね。この時点で勝ちは決定。
導入部に違和感がありませんからね。
物語(事件)にスルッと入ることが出来るのです。

しかも、登場人物の個性まで見事に確立。
娘役を演じた畠山彩奈さんを筆頭に、警視総監役を演じた大和田伸也さん、エリート参事官を演じた相島一之さんがパズルのピースのように物語にはまっていました。

更に脇を固める役者さんも地味ながらに豪華。
佐戸井けん太さんや、三船美佳さんなんて“無駄使い”のような起用。あと、姜暢雄さんが演じた元相棒・菊池参事官の情けなさまでパワーアップしていたのも僥倖。

だから、ミステリとして穴だらけでも問題なし。というか、視聴者がツッコむためには、この程度が良いのでしょう。

まあ、そんなわけで。
矢部謙三の髪の毛と同じくらいに“薄い”物語。世界観を楽しめるかどうかが分水嶺なので、文字どおりに“頭を空っぽ”にして臨むが吉です。

ただ、さすがに全8話は長かったかな…。
何事においても腹八分。「もう少し世界観に浸りたい」と思わせるくらいが丁度良いですね。
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