このレビューはネタバレを含みます
国民の多くがこの作品、そして湯川先生という素晴らしいキャラクターを知っています。日本のドラマ史においても、トップクラスの面白さと見応えを誇る作品だと思います。
湯川先生の天才ぶりは本当に魅力的です。卓越した科学者であり、常人とはかけ離れた頭脳や才能、そして独特な思考を持つ人物。そんな彼に寄り添うバディが内海です。内海は、事件や被害者の気持ちに寄り添い、事件解決に奔走する存在。そして、湯川先生の“変なところ”にはきちんと怒ることができる人でもあります。数ある作品の中でも、最高のバディの一組だと思います。
さらに、何と言っても、演じている福山雅治と柴咲コウが本当に素晴らしい。まさに圧巻の演技です。他にもこの役が似合いそうな俳優は何人か思い浮かびますが、それでも「観たい」とは思えない。この二人が演じているからこそ、最高だと感じるのです。
全話を通して、科学的トリックも興味深く、被害者や加害者、その家族たちの気持ちに胸を打たれたり、苛立ったりしながら観るのが楽しかったです。それぞれの家族、一人ひとりの被害者や加害者に人生がある。真剣に向き合おうとすれば、その一人ひとりにドラマがある。そう感じる回が多くありました。
特に最終回。木島先生のしたことは決して許されるものではありませんが、湯川先生によく似た彼にとって、秘書・京子との出会いは特別なものだったのでしょう。お互いにしか分からないような感覚で支え合っていた。その儚い愛情が、美しく描かれていました。
そして、内海。本当に大好きです。自分の体に、東京の半分を壊滅させるほどの爆弾が固定されているというのに、一言目に「犯人逮捕」、二言目に「湯川先生と地域住民の避難」を叫ぶ。本当にすごい。意識的な行動ではなく、もはや本能的なものだったのでしょう。それこそが彼女の人生そのもの。その生き様が刑事として、他人を思いやる人間として表れていたシーンでした。
そして二人の関係。観ていて“キュン”とするような、あるいは身体が熱くなるような関係ではなく、胸の中がふっと温かくなるような、とても居心地の良い関係性。「好き」とか「愛してる」といった言葉ではなく、「君を死なせたくない」という台詞で表現されたのが、本当に良かった。
それぞれのキャラクターが一様にクリスマスを過ごしています。警視庁で仕事をする草薙、職場で働く城ノ内、聞き込みに奔走する弓削、クリスマスパーティーを楽しむゼミの学生たち、ケーキを買って家に帰る栗林、そして爆弾と共に過ごす湯川先生と内海。それぞれにドラマがある。その描写がとても好きでした。
湯川先生と内海が手を握り、抱きしめ合うようなクリスマスは、爆弾を解除したあとくらいがちょうどいい。そんなふうに思います。