馮美梅

平清盛の馮美梅のレビュー・感想・評価

平清盛(2012年製作のドラマ)
5.0
このドラマの凄いところは人間の4つの苦しみ(生・老・病・死)を見事に表現していること。その苦しみはどんな人間にも平等にあるもの。その苦しみの中でもがきながら抗いながらも、時に受け入れながら生き、死んでいった人たち。

キャストも単に演じただけではなく、このドラマに引き寄せられ演じた方もいたり。崇徳院を演じた井浦新さんはご自分のスマホの待ち受けがまさに崇徳院の浮世絵というくらいで、オファーが来た時には驚いたと、だからこそのドラマの中でのあの最期を演じ切りました。

鳥羽院を演じた三上博さんもまた、オファーの前に色々鳥羽院に縁あることが多々あって、これは演じなければと思ったとか。

最近では、白河院を演じた伊東四朗さんはご自身の祖先がまさにドラマにも登場した伊藤祐親(ドラマでは峰竜太さんが演じました)が実の祖先、奥様の祖先は源氏ということで「ファミリーヒストリー」でご本人も驚いていました。

このドラマでは画面が暗いとか汚いなど言われましたが、平安時代が苦手だった(十二単や源氏物語などは好きですけど)私にとって、初めていろんなことを改めて知ることのできたのがこのドラマでした。

衣装に関しては足元やそれ元についている紐ってこの時代のドラマを見てうっとおしくないのか、何のためについてるんだと思っていたのが、清盛が身を持って実用的に着こなしてくれて、そういう風になるのかとなるほど納得し、烏帽子に関してもあの長いものを畳んだものを市民が被っているものだとか、鎧に関して、宮中の装束に関してなど、改めて知ることが出来ました。

言葉遣いに関しても、今まで意味も分からず「~でござる」なんて言っていたけれど、このドラマで改めて、当時の敬語の使い方などを知ることが出来ましたし、当時の文化などに関しても本当に丁寧に描かれていたと思います。

放送が終わった後、もう7年経っていても未だにTwitterでも盛り上がっているし、この作品を通して、キャストの皆さんをいまだ応援し続けているというのも珍しいかもしれません。観た人たちにとって、本当に宝物のような作品。当時、横やりで視聴しなかった人たちも、改めてみて評価してくれたりしてるのを見ると、こんな素晴らしい作品を作ってくれた脚本、プロデューサー、スタッフやキャスト全ての人たちに感謝です。

そして、まだ観たことない人にはぜひぜひ観て欲しい。
苦しみの中で見続けた終わりに、本当に素晴らしいご褒美をもらえるこの作品を。
馮美梅

馮美梅