なっこ

さくらの親子丼2のなっこのレビュー・感想・評価

さくらの親子丼2(2018年製作のドラマ)
3.0
あらすじ
[公式サイトintroduction http://tokai-tv.com/oyakodon2/ より抜粋]
2017年度、全国の児童相談所が対応した虐待件数は13万3778件と、厚生労働省が統計をとり始めて以来、最悪となりました。暴言や無視などの心理的虐待から、暴力などの身体的虐待、育児放棄、そして実の父からの性的虐待まで。親から虐待を受けた傷はあまりに深く、結果、非行や売春に走る子どももいます。
絶望の淵に落とされた子ども達に手をさしのべる、それがさくらさんです。「親と子が一緒になって“親子丼”」。さくらさんが作る親子丼で空っぽのおなかを満たした子どもたちは同時にココロも満たされたはずでした。でも今回は…。

「なんで親子が1つにならなきゃいけないんだよ」

親に裏切られた子どもたちから投げつけられた言葉の数々。真っ向から自らの信念を否定されたさくらさん。傷心のさくらさんは、果たして子どもたちに手を差し伸べ続けることができるのでしょうか?そして希望の道しるべを差し示すことはできるのでしょうか?
パート2での舞台は、さくらさんの古本屋兼自宅の「九十九堂」から「子どもシェルター」に移ります。 シェルターは、虐待を受けた子どもたちが一時的に避難・保護できる施設で、親やオトナから子どもを守るため、その場所は一切公表されていません。 クリスマスも、お正月も、そして今夜も帰る家のない子どもたちが、いまのこの時代にもいるのです。
シェルターの食事スタッフとなるさくら(真矢みき)さん。今回は、親子丼だけでなく様々なメニューが登場。そこに描かれる親子の物語も、みどころの1つです。
脚本は、前作に引き続き清水有生。NHK朝の連続テレビ小説「あぐり」「すずらん」や昼ドラ「明日の光をつかめ」、「3年B組金八先生」などを手掛けたベテラン脚本家が、実際にシェルターで取材を重ね、書き上げたオリジナル作品です。
悲しい時も、苦しい時も、人は誰かとつながることで希望を見出すことができます。
それは子どもたちも同じです。「家族」「親子」という枠から、はじき出されてしまった子どもたちが、生活を余儀なくされるシェルター。その過酷な現実に打ちのめされながらも、食事を通じ子どもたちと向き合うさくらさん。さらなる困難にどう立ち向かうのでしょうか―。

感想
さくらさんのお節介な一面がすごく好きです。シーズン1のときは、もっとパワフルに自分の意見をぶつけていくイメージがあったけれど、今回は傷付いた子どもたちの言い分に考えさせられる部分もあったのか、微妙に距離を置いて接しようとするそのバランス感覚がとても良かった。
シェルターにやって来るのは、大人に親切にされたり、信用されたり、意見を聞かれたり、そういう当たり前のことを経験していない子どもたち。一緒に食卓を囲むことで、何かが少しずつ積み上げられていったような気がする。子どもの食べたいものを美味しそうでしょうって食卓に並べてあげる、それだけで愛情って伝わるもの、そんな風に信じたくなる。みんなでワイワイ食べるシーンは特に好きでした。

一人ひとりの子どもたちが置かれている状況は過酷で、私の身近にこういう世界があるのだと実感することは少ないけれど、大げさな表現だとは思えず、これは私の話だ、と実感する未成年者がこの現実のどこかにいるのだろうとさえ思った。
ハチドリのホーム長の鍋島(相島一之)さんにしても、新人弁護士の川端(柄本時生)さんにしても、支援する側が完璧な人間ではなく揺るぎない使命感があるわけでもないところに現実味があった。弱者の立場に立って尽くすことは、尊いけれどいつも報われるわけではない、それでも、ハチドリのように、私は私のできることをするだけ、と社会と仕事に向き合うことができたなら。未来は少しずつ良い方に向いていくのではないだろうか、私はそういう応援歌だと感じた。

ひとしずく、ひとしずく。小さくとも、いま、私にできることを。
なっこ

なっこ