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クリミナル・マインド/FBI vs. 異常犯罪 シーズン10のGreenTのレビュー・感想・評価

3.5
今シーズンから、ケイト・キャラハンが新しいエージェントとして参加します。演じるジェニファー・ラブ・ヒューイットは、名前も顔も知っているけど代表作が全くわからない人で、ググってもぜーんぜんピンと来なかったのですが、若い時のセクシー・ボディのビキニ写真がたくさん出て来ました。この役ではすごい太ってしまっていて、下町のおばちゃんみたいな体型なのに、リップ・グロスで唇がテカテカしていて、なんかあまり好感度が高くなかったです。

TV番組って、毎回同じような構成になってて、何シーズンも見ていると「見せ場」がわかってくるじゃないですか。

私にとってクリミナル・マインドの見せ場は毎回一緒で、まず、最初の『Round Table』

BAUのメンバーが出勤して来て、丸テーブルのある会議室でこれから取り掛かる事件を検証します。昔はJJがプレゼンしていたんだけど、ペンタゴンに移動になった時、ペネロピに変わって、JJ復活後もペネロピが担当しています。ここで事件の詳細が分かると共に、BAUメンバー同士の関係性も分かったりして面白いです。

そして最後に必ずホッチが、「Wheels up in 30!」と言います。

これは、「30分で離陸だ」って意味だと思うのですが、こういう表現をするとは知りませんでした。

アメリカに20年以上いても、未だに毎日、聞いたことない英語表現が出てくるのには本当に驚かされます。

しかし、「英語わかるようになったよな~」と思えるのは、こういう、今まで聞いたことのない表現を聞いても、意味が分かる時です。

「Round Table」というのも、クリミナル・マインドを観るまでなんとも思わなかったのですが、要するに「会議」って意味なんだな~と思いました。時々、BAUメンバーが突発の事件で呼び出されるとき、「Round Table in 10!」(10分後に会議室に!)みたいなテキストが入ったりします。

その後、BAU専用のジェットに乗って、事件のあった都市に飛んでいる間、さらに事件に関して話し合うシーン。これも私の好きなシーンの1つです。

例えば、リードがいつも様々なことを細かい数字まで良く知っているのを、新参者のケイトが

「本当に天才なの?いい加減なことを言っているのをみんな鵜呑みにしているだけじゃないの?」

と言うとモーガンが

「ありがとう!10年間、俺もずっとそう思っていたが、誰も指摘してくれなかった!」

と、ケイトとHigh Five をします。(日本では「ハイ・タッチ」というそうですね)

するとリードが「Look it up!」(調べて見なよ!)と言うとロッシが「もう調べているよ。The kid is right (リードの言う通りだ)」と言います。モーガンやロッシはリードのことを「Kid」と呼ぶのですが、24歳でBAUにリクルートされたリードももう35歳くらいのはずなので、Kidもないもんですが。

そうして、リードが正しかったことが証明されると、隣に座っていたホッチが小さく拳を突き出し、リードがそれに自分の拳を「ちょこん」と当てます。

これもHigh Five と同じようなゼスチャーで、ホッチみたいな堅物がちょこっと出すところが人間味があって面白かったりします。

次に好きなお決まりのシーンは、地元の刑事や保安官に会うシーン。この、地元の刑事や保安官が結構知っている役者さんだったり、またエピソードの中で重要な役割を担ったりすることもあります。JJと結婚したウィルも、ニューオリンズだっけ?かどっかの刑事さんだったんですよね~。

それから、事件の調査をし、プロファイルを地元の警察官たちに発表するところ。BAUが勢ぞろいで、一人一人セリフがあり、犯人像を説明します。

この犯人のプロファイルに、小さい時に暴力を受けたり、DV家庭で育ったりしたため、というのが多い気がします。

例えば、母親が父親にDVされていたのを見て育った子供が、大きくなってからDVを受けている女性を誘拐しては殺すという事件があったのですが、暴力を振るっていたのは父親なのに、なぜ母親と同じ立場の女の人を殺すのかなと思ったら、

「母親を気の毒に思っているが、DVを受けている女性を見ると、その時の嫌な感情を思い出すから」

なんだそうです。「へえ~」とか思いました。

そして毎回、犯人を追い詰めていく過程で、わからないことがあるとガルシアに電話して、「〇〇のことを調べてくれ!」というとガルシアがパチパチパチとコンピューターを叩いて、魔術のように回答を出していくところも、好きなシーンです。

「そんな都合よく情報が見つかるのか~」とか思うんだけど、ガルシアは天才的なハッカーだし!とか、「FBI のデータベースには、個人情報満載なんだな~」とか思いながら見ています。

そして、事件解決後、ジェットでクアンティコに帰ってくるとき、もしくはBAUオフィスを出る前に交わされる会話などが、メンバーの人となりを見せてくれるので好きです!!

シーズン10の山場は、シーズン1と2で私のお気に入りだったギデオンが殺されてしまうお話です。

ギデオンはシーズン3で愛する人をシリアル・キラーに殺され、傷心のまま仕事に来なくなり、リードに置き手紙を残して消えてしまうのですが、その置き手紙を残していった、お気に入りのキャビンで撃たれて死亡しているところを発見されます。

犯人は、ギデオンが若い時に担当したシリアルキラーなのでは、とBAUは捜査に乗り出すのですが、その過程で、BAUの前身であるBehavioral Science Unit は、若かりし頃のギデオンとロッシが始めたことがわかります。

ロッシとギデオンは、Behavioral Science Unit に最初に配属されたFBI 捜査官でした。犯人や被害者の行動分析という概念がまだ新しかった頃の話なので、「あの頃はみんな『B.S. ユニット』と呼んでいた」とロッシがリードに言うシーンがあります。

「B.S.」と言うのは、「Bullshit(くだらないとか、馬鹿げてるの意)」の略で、「Fuck」を同じく良い言葉ではないので、ハッキリ言えない時には「B.S.」と言うことが多いのですが、Behavioral Science も略してB.S. 、そしてまだまだ行動分析なんか馬鹿げていると思われていた時代だから、「みんながB.S.ユニットと呼んでいた」って言うのはちょっと笑える話です。

この、ロッシとギデオンが若い頃、プロファイリングをする回想シーンがあるのですが、その時に、「Murderer(殺人犯)」ではなく、「Serial Killer」と言う言葉に慣れようよ、と言う下りが出てきたり、またロッシが、シリアルキラーが毎回「自分がやった」と言う印を残していくことを

「Signature (署名)のようだな」

と言うと、ギデオンが

「そのとおりだ。これからはその印を『Signature』と呼ぶことにしよう」

など、現在BAUが当たり前に使っている行動分析用語が、この頃にギデオンとロッシによって生み出されたことがわかり、とても面白かったです。

ウィキってみたら、ギデオンは本当に行動分析の先駆けだったFBIエージェントをモデルとして作られたキャラだったそうです。

ロッシは、ストラウスに続いて昔からの「戦友」であったギデオンも殺されてしまってガックリきていましたが、一番打撃を受けたのはリードでした。

リードを演じるマシュー・グレイ・ギューブラーは、もともと俳優志望じゃなかったそうですが、この役めちゃハマり役だし、ギデオンの検死をしなくちゃいけない時に涙を流すところなんかすごい真に迫った演技でした。

これ以外にも今シーズン面白かった話がありました。

ホッチが付き合っていたベスが香港に転勤になってしまい、とうとう別れてしまったらしいのですが、そんなホッチをロッシが「Wingman」として、ジャズバーに連れて行きます。

「Wingman」というのは、もともと空中戦でリードする戦闘機の、斜め後ろに位置する戦闘機のパイロットのことを指す言葉なのですが、そこから派生して、バーで女性をナンパするときに一緒に行く男友達のことを言います。

2人連れの女の子をナンパした場合、友達が気に入っている女の子を落とすために、連れの女の子(通常はブス)を引き受ける男友達のことを指します。

ロッシはジャズバーで歌う女性シンガーとお近づきになりたいのでホッチを連れて行くのですが、そのジャズシンガーの女友達と2人きりで会話をするホッチがなかなか実直で可愛らしかったです。

ジェニファー・ラブ・ヒューイットの好感度が高くなかったせいか、ケイトは今シーズンで降板。次にはどんなエージェントが来るのか、楽しみです!
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