テリーマザーファッカー虎

コブラ会 シーズン1のテリーマザーファッカー虎のレビュー・感想・評価

コブラ会 シーズン1(2018年製作のドラマ)
4.7
84年の傑作『ベストキッド』の続編がドラマシリーズとして2018年に始まるということだけでも驚きなのに、舞台は30年後、そして主役はなんと1作目の悪役ジョニーでタイトルは『コブラ会』
こういった過去の名作の続編というと近年だと『クリード』があったりしましたが本作もその方式にかなり近い傑作ドラマシリーズでした。

普段なら全くスポットが当たらないであろう80年代映画の分かりやすい悪役そして負けた側にスポットが当たる作品というだけでもかなりグッと来てしまうんですが、本作は更に1作目を踏襲していくのが素晴らしい。
あのいじめっ子だったジョニーがミヤギのように負け犬達を育て上げていく場面には涙が止まらないし、一方その頃"勝った側"であるダニエルのその後も描かれていくのは嬉しい。しかも演じるのはラルフ・マッチオ!!

勝って成功したが人生のピークを84年に残してしまった男。片や負けて人生でも負け続けてしまい84年に後悔を抱き続けてしまった男。あの時代に取り残されたままの男達の時間が再び動き出す作品でした。
映画全体に使われる80'sポップも『ストレンジャー・シングス』以降顕著なただのノスタルジー的な扱いではなく本当に時代取り残されてしまった二人を強く印象付けているし、シリーズファンが歓喜するあんな場所やあんな人の登場までまさに"あの映画以降も彼らの人生は続いていたんだ!"と思わせる仕掛けが満載で素晴らしかった。

1作目の踏襲をしつつあくまでコブラ会として弟子を育てていくジョニーの姿は可笑しいし、ミヤギの流派を弟子(誰が弟子かというのも素晴らしい!)に継承させていくダニエルの姿はシリーズファンなら涙を流してしまうこと間違いなし。

新キャラでありもう一人の主人公であるミゲルやサマンサの青春物語も面白い。

なによりも永遠の不在になってしまったミヤギに対しての最大級のリスペクトを感じる第5話は思わず号泣してしまいました。

間違いなく1作目は絶対に予習必須ですが80'sリバイバルが流行っているなか、こういった変化球の傑作が出るとは思いませんでした。