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ROME [ローマ] シーズン2のutakoのネタバレレビュー・内容・結末

ROME [ローマ] シーズン2(2007年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

カエサル暗殺後のローマ。遺言により甥で17歳のオクタヴィアヌスが養子となり後継者に指名される。カエサルの腹心として長年仕えたアントニウスは、自身が後の後継者に任命されると信じていたためカエサル派内部で分裂。そんな不安定なローマ執政を狙っていたのは、マケドニアに赴任となっていた元元老院派(反カエサル)のブルートゥスとカッシウスだった…。

後に和解し、オクタヴィアヌス軍とアントニウス軍が結束。ブルートゥスとカッシウス軍と決戦となる『フィリッピの戦い』はドラマとは思えない迫力がありました。さすがHBO。
カエサルと愛人関係にあり後に捨てられた母セルウィリアの怨念も執着していたからこそ常軌を逸したものがあります。そして半ば母の言いなりになっていたマザコンちっくなブルートゥスも、最後は男を見せてくれてグッとくるものがありました。

そして、オクタヴィアヌスとの和解から再度決裂するアントニウス。エジプトに左遷され、クレオパトラの虜となったわけだけど自堕落になったことは表向き…己の未来を悲観した転落っプリは、かつての輝かしい功績をすべて塗替えていくようで見ていて切なくなりました。
穀物貿易で決裂し、ローマvsエジプトの構図となり、オクタヴィアヌスに降伏を持ち掛けられるも、百戦錬磨で生きてきた軍人でもある彼の最後の台詞『敗北するなら死を選ぶ』は、かなり痺れましたね。

元百人隊長ヴォレヌスと元兵士プッロ、創作キャラの行く末も大変ドラマチックなものになっていて、平民から見たローマの生活事情を知れて面白かったです。
史実にもあるカエサルとクレオパトラの子の行末…本来ならオクタヴィアヌスに殺害される運命にありますが、このドラマでは捻りがあってニヤっとしてしまった。

自身の夢の実現に、邪魔となるものを冷淡に容赦なく排除した若きオクタヴィアヌス。前編は弱々しい幼少期が描かれ、後編ではカエサルの意志を継ぎ逞しく育った青年期…変貌ぶりに胸躍ります。
エジプトに勝利した後、華々しいローマ凱旋パレードの様子で幕引きとなる今ドラマ。民衆の為の革命を興し絶対な支持を得、『民衆の王』『第一の市民』として初代ローマ皇帝アウグストゥスとなるオクタヴィアヌスの威厳を感じつつも、逝った者、残された者の胸中を思うと余韻で胸がいっぱいになる作品でした。

シナリオは勿論のこと、俳優の持つ雰囲気と役のキャラクター性がみんなぴったりで文句なく引き込まれた傑作ドラマでしたね。ここを満たさないドラマも意外と多いので。欲を言えば、もっともっと長く観ていたかった…!
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