Lilie

ヴォイス~命なき者の声~のLilieのネタバレレビュー・内容・結末

ヴォイス~命なき者の声~(2009年製作のドラマ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

第4話
「検死台の上の親友」を視聴。

法医学の学生たちが出てくるドラマは珍しいのでは。
瑛太が主人公で、ガリレオ(同じフジで2007年開始だからこっちが先だね)や刑事ゼロみたいに今までのやり取りや見たことを思い出して「閃く」。そして真実を掴み取る。

しかし瑛太変わらないな!
他のみんなは若いな!と思うんだけど、瑛太だけそのままな気がする(実際はそれなりに歳取ってるけどさ)。携帯がもちろんスマホではなく、携帯で。スライド式のとか、友だちが持っていたなと懐かしく見てしまう。

第4話は主人公と同じゼミの亮介(生田斗真)が検死に行くとそこにはかつての親友である富士夫(田中圭)が横たわっていたというもの。

生田斗真と田中圭は実際にも仲が良く、プラスアクトのインタビューで田中圭は自分の周りにいるかっこいい人として、事務所の先輩小栗旬と生田斗真をあげている。

なので、現実とドラマが交差するような感じ。生田斗真の気持ちの入りようが違うのではと思ってしまう。
回想しているときの表情、やさぐれ出る時の表情、まさにそれだ。

あらすじは割愛するが、やっぱり切なくて、あそこまでできるなら大怪我してでも逃げて欲しかったと思ってしまう。
でも若い時って自分の居場所ってもうそこしかないと思いがちだ。
自分はもう抜け出せないからせめて、か。

バイクと焚き火のシーン、心から一緒に歌い、これからの人生を語る。実に楽しそうで、このあとで死んでしまうのだと分かっているから余計に切なく、涙が止まらない。
いつも洗濯もの畳みながらドラマとか見ること多いんだけど、さすがにこれは正座して見た(苦笑)ハンカチ用意しておけばよかった。ティッシュで涙を拭った。

アレルギーというのは本当に苦しい。
わたしもかつて卵、牛乳、大豆の食べ物のアレルギー持っていて(子どもの頃からで、子どもの頃のは治ることもあり、今は完治している)、忘れもしない旅行先で大丈夫だろうと油断してグラタンを食べたら、息苦しくなり喘鳴が止まらなかったことがある。息がわずかにしかできない。薬をとりに車に戻って、吸入して治るまで、どんなにか長く感じたことか。死ぬかと思った。
富士夫が苦しむところを見て久しぶりにそれを思い出した。それくらい苦しそうだった。ひゅーひゅーという音が聞こえないけど、聞こえそう。喉が炎症で細くなって呼吸ができない窒息感。おそらく未体験であろうことなのに苦しむ田中圭すごい。

(ちなみに、私は小学生高学年で治ったが、当時はアレルギーは珍しく、学校で1人2人くらい。珍しがられ、理解は低かった。だからあの描き方はわかるんだけど、エビフライって人気のメニューだよね?むしろ食べないならおれ食べる!ってならない?これを食べないくらいなら、ほんとにアレルギーなのねってならない?そこがいじめられてたということなのかな?むむ。)

最後まで今の自分を知られたくないとプライドかけてそれを守り、おそらく名簿の上の方に掲載されていた親友を守り、厳しくも尊敬していた父を守り、それを決意した目、公園で悟られまいとちゃかし、笑い、ときにまぶしそうに親友を見る翳った目、田中圭の目の演技に引き込まれたし、なんなら検死台の上に乗っている時は痛々しいのに神々しくあった。

書いていて、朝ドラで知ったジャガーズの「君に会いたい」の歌詞が頭におりてきた。
『若さゆえ苦しみ 若さゆえ悩み…忘れえぬあの日…』

これからの長い人生を思い、自分はそれを生きていくんだと信じて疑わなかったあの若き日。ある日それは突然奪われ、もう悩むことも苦しむこともできない人がいる。
私にも若くして亡くなった友がいた。病気や事故で。
彼らに恥じない生き方をしてこれたかな。
ラストの亮介の決意にまた涙する。
後を押してもらったんだね。恥ずかしいない生き方をしたいと。
そして周りの友人たちもまた亮介を守ろうとするのが素晴らしい。

命なき者の声を聞く
法医学って素晴らしいなと思った。データがあったらから閃きもあって真実にたどり着いた。

たかがドラマ、というかもしれない。
でも数十分の中に描き出される役者さんたちの人生に真実を感じ、自分を投影し、感動する。
役者さん同士の実際の関係性を知ってるからこそ受ける感動もある。

悲しいけれど、ふと自分これでいいのかなと思ったときに見たくなる「親友」の姿だった。(了)
Lilie

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