仮面ライダーシリーズ35周年の記念作として作られた本作。
前作『仮面ライダー響鬼』は昭和でいう『仮面ライダーアマゾン』的な異色中の異色作で色々と物議を呼んだ作品であったのに対しての本作は"平成ライダー"らしい作品となっていた気がしました。
もちろん個人の好みもあると思いますが仮面ライダー好きに「平成ライダーで一番カッコいいライダーデザインは?」と聞いたら多くの人がカブトを挙げるのでは?というくらい劇中出てくるライダー達のデザインが素晴らしい。
ビーファイターやカブタックなんかを彷彿とさせる昆虫を模したSFチックなデザイン。そしてなんと言っても前作までのフォームチェンジの概念を更に進化させ脱皮をイメージした2段階変身はひたすら痺れます。
2段階変身後に使える本作の色である超高速移動を使ったハイスピードバトルは『仮面ライダー555』を発展させたバトルシーンで最高です。
設定もSF色がかなり強く、渋谷に堕ちた隕石により人間に擬態する宇宙人ワームが大量発生し誰が人間かワームか分からないままライダー達が闘っていくという『ゼイリブ』なんかを連想させる設定もワクワクさせられます。
そしてアクの強いキャラクター達も愛らしく水嶋ヒロ演じるライダーシリーズ最強の主人公(劇中真正面から負けるのが2回だけ)の天伝総司を中心に超現実的なキャラクターが次から次へと登場していく様子はかなり楽しめます。
キャスティングで言うとJACの山口祥之や同じく元JACでリアルに最強の男である坂口拓も出演していて、本当に動ける人達の生身のアクションが楽しめるのも魅力ですね。
特に坂口拓の初登場回でのアクションは圧巻でした。あまりにもガチ過ぎてライダースーツを破損させてしまった逸話なんかもあったり。
内容はシリアスながらギャグ演出が多いのも今後の平成二期に通ずるモノがあると思います。
ただそんな良いところが沢山あるなかそれを帳消しにしてしまうくらい全体的な脚本が擁護しようのないくらいダメダメな出来。
多彩なキャラやライダーが出てくるにも関わらず、とあるメインキャラは中盤から最終回までなんの説明もなく一切出て来なくなったり、急に出て来た新設定やキャラクターもなんの説明も無くその後、全く無かったことみたいにされていてその場その場を盛り上げるために急遽何かを出して後片付けを放置してる印象を受けました。
特に後半から終盤にかけては強さもインフレ化していき何が何だか。
しかし悔しいのが全体的を通して見ると酷い出来なのにも関わらず1話、2話完結物として見ると印象的な話が多くちゃんと面白い。
それ故に全体的な纏まりがちゃんとしてれば傑作だったのではと今でも思う惜しい作品でした。